Run to Infinity

by Yota Nakamura /// 「自転車で世界を旅する元添乗員ライター」中村洋太の挑戦と情報発信のブログ

【謎のカザフスタン人を助けた話(後編)】それでも、信じることはやめられない

      2017/03/03

中編はこちら)

無事に日本に着いたカザフスタン人のAigulさん。「じゃあ仕切り直して、日比谷でランチでもしましょうか」という話になり、昨日のお昼に会う約束をしていました。

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「13時にペニンシュラホテルの前で」

「OK」

と約束したのです。が、しかしです。

10分経っても、待ち合わせ場所にやって来ません。困ったのは、連絡が取れないことです。彼女の携帯は日本では電話が繋がりませんでした。

普段寛容なぼくも、珍しくイライラしてしまいました。お昼休みは1時間しか取れないから、その中で何を話そうかとか、どこへ連れて行こうかとか、喜ばせるために色々考えていたので、それが台無しになってしまった悲しさもありました。「せめて『遅れる』という連絡だけでもくれればいいのに(>_<)」と嘆きながら、ぼくは30分以上そこで待っていました。

そのとき、「まったく、カザフスタン人はひどいもんだ」と無意識に感じている自分に気付きました。「彼女はひどい」でなく、「カザフスタン人はひどい」と感じていたのです。初めて会うカザフスタン人の行動や言動に、「一般にカザフスタン人とはこういうものだ」と判断してしまっている自分。もちろん全てのカザフスタン人がそういうわけではないはずなのに、です。

ということは裏を返せば、ぼくの行動や言動もまた、彼女にとっての「日本人ってこういう人」という印象に繋がるわけです。ぼくがどういう対応をするかによって、日本の印象は良くもなるし、悪くもなるのです。だったら、究極に良くしてやろうと思いました。理不尽さには、最高のおもてなしで返してやろうと心に決めました。

Aigulからは夜に連絡が着ました。「ずっと連絡ができず、本当にごめんなさい。通りすがりの人にお願いしてでも、遅れることを連絡すべきだったわ」と謝ってくれました。「I was so sad」と軽くグチりながらも、既にぼくの怒りは冷めていました。

「じゃあ明日のお昼、もう一度同じ場所で会おう」

「わかった、今度は必ず行くわ」

そして今日のお昼、ついにAigulと会うことができました。彼女と一緒に日本に来た2人の友人もいました。エルサルバドル人とパレスチナ人と聞き、「おぉ、おもしれぇ」と思いました。全員初めて会う国の人間、それも滅多に会えない国の人間です。

ぼくは行きつけのお店に連れて行き、そうめんと天ぷらを食べさせました。英語でうまく説明できる自信がなかったので、そうめんと天ぷらがどういう食べ物か、英語で紹介された記事をプリントアウトして説明しました。

そして、「昨日の約束を破った罰として、これを付けてなさい!」と「必勝ハチマキ」と「I♥︎JAPANハット」をプレゼントしました。喜んでくれました。「ごちそうさま」という日本語も教えました。

「エルサルバドルに来たら案内するよ」「パレスチナにも来なよ」そんな嬉しい言葉をもらって、楽しい時間はあっという間に過ぎました。彼らは明日から京都へ行くそうです。「Have a nice trip!!」と握手をして別れました。

思い返せば、見知らぬカザフスタン人からもらった突然のメッセージがきっかけでした。無視していれば、こんなことは起きませんでした。もちろん、自分のしたことは、正しいことではないのかもしれません。もしかしたら、騙されていた可能性もあったでしょう。

それでも、信じることはやめられません。平和への道は、こうした小さな地道な交流の延長線上にあると思います。ひとりひとりが日本の親善大使です。困っている外国人を見かけたら、声をかけてあげてください。言葉が出来なくても、心で通じ合えます。きっとお互いにとって、素敵な体験になるはずです。

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