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by Yota Nakamura /// 中村洋太の挑戦と発信のブログ

いつまでも残したい、日本の美しさ

      2017/02/25

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日本の文化には、どんなことにも、「美意識」が根底に息づいている。

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色であったり、音であったり、普段の生活や自然、歴史と見事なまでに調和して豊かさを生み出している。

風土に根ざした人々の営みが築き上げてきた、日本の原風景といえる景観を発見する旅は、実に楽しいものだ。

少し奥まった地域に伝承されてきた、古くからの民俗芸能や昔ながらの建築を残し、今も生活を営んでいる集落など、日本には地方独自の文化を継承してきた素晴らしい文化的景観がたくさんある。

無形文化遺産はユネスコが世界遺産のひとつの分野として、伝統や慣習など形のない文化を保護すべき遺産として認定するもので、日本では文楽、能、歌舞伎などが登録されている。

日本にはまた、「無形民俗文化財」と呼ばれるものがある。古くから伝えられてきた各地の民俗芸能もそのひとつで、歴史的価値や芸術性の高さからそれに指定され、いつまでも継承し、未来に残すべき遺産として護られている。

たとえば、「地芝居」がある。地芝居は、「地歌舞伎」「農村歌舞伎」とも呼ばれるが、地域に根付き、地域住民(=素人)によって演じられる、歌舞伎を中心とした伝統芸能のことである。

昭和10年代まで、地芝居は歌舞伎ヒエラルキーの根底をがっちりと支える存在だった。まず各地のアマチュアが演じる地方色豊かな地芝居が底辺にあり、その上に小芝居と呼ばれる低料金で見られる庶民歌舞伎がある。これは職業として参加するプロの芝居である。そして頂点に、大芝居、つまり最高の芸術性を持った大歌舞伎が君臨する。地芝居、小芝居、大芝居は密接に関わりながら発展してきた。

地芝居の魅力は、その地域性にある。大芝居が洗練されていく過程でそぎ落としていってしまった古い型(演技や演出)が地芝居にはまだ残っている。スマートな大歌舞伎とは異なるオーバーな演技、くさい表現は地芝居の醍醐味だ。

地芝居を支える人の熱さも魅力といえるだろう。子どもの頃に観た地芝居が廃れるのを見かねて保存に奔走し、後世に伝えようとする方々は、高齢にもかかわらずエネルギッシュで熱い。平日にもかかわらず、会社を抜け出して舞台に立つサラリーマン、炊き出し部隊のお母さんたち、厳しい稽古にも必死でくらいついていく子どもたち。老若男女が一丸となって地芝居を支えている。

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約280年の歴史を誇る、山形県酒田市の「黒森歌舞伎」も有名な地芝居のひとつで、「冬の黒森、夏の檜枝岐」と東北の二大歌舞伎に数えられている。日枝神社の境内で、毎年2月15日と17日に行われる。雪が降る中での芝居も多いことから、「雪中歌舞伎」とも呼ばれている。

かつては1000人以上の客席でぎっしりと埋まったというが、現在は300〜400人ほど。それでも平日の昼間に、寒さも忘れてこれだけの観客が見入ってしまう魅力が、この黒森歌舞伎にはある。後継者不足など心配は尽きないものの、各地の地芝居が廃れていくなかで、毎年途切れることなく公演を続けていることが、ひとつの奇跡である。

しかし、全国の有名な祭りなどとは異なり、ツアー客・団体客が訪れるような場ではない。地元の人々や民俗芸能を愛する人々にとっての場であり、これまでにツアー客が訪れたという話は聞かない。「ツアーで訪ねたい」と言っても、普通は難色を示される。

だからうちの会社では、市の教育委員会を通じて、この旅のコンセプトを丁寧に伝えた。コンセプトとは、上に書いたようなことである。地元の人々によって大切に継承されてきた文化、日本の素晴らしい文化的景観を、理解あるお客様にご紹介したい。決して土足で踏み込むような真似はしない。そういう約束で、今回特別に、団体での席を用意していただいた。おそらく日本初のツアーで、極めて貴重な機会である。

ツアーは一本のみ。その添乗員に抜擢された。「もう来ないでくれ」と言われたら会社の恥だ。失礼のないように、猛勉強している。ひとりの日本人として、280年の歴史の重みを感じ、現地の人々との交流を大切に築いていきたい。

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挑戦は続く。

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