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by Yota Nakamura /// 中村洋太の挑戦と発信のブログ

人事を論ぜんと欲せばまず地理を見よ

      2017/02/25

山口県・萩へ行ってきた。

この町に住む人々は、誰もが吉田松陰のことを「松陰先生」と呼ぶ。

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「ほかの県では松陰先生と呼ばないんですか?」

小さい頃からそう育ってきたから、それを当たり前のことだと思っているようだ。

松下村塾を見てきた。

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この八畳の小さな空間から、明治維新が生まれたといっても過言ではない。

吉田松陰は、ここで久坂玄瑞や高杉晋作、伊藤博文らに講義をした。松陰は死罪となったが、志は彼らが受け継いだ

「地を離れて人はなく、人を離れて事なし、ゆえに人事を論ぜんと欲せばまず地理を見よ」

松陰は、江戸時代きっての旅人だった。空理空論を嫌い、現場主義・行動主義の男で、自ら日本各地に足を運び、その地の高明な人物たちを尋ねて、教えを受けて回った。脱藩という重い罪を犯してまで、旅をした。

しかし、幕府の方針を強く非難し、強い主張を持ちつつもで、どこか女性のような優しい心や、面倒見の良さを併せ持つ、不思議な男だった。

何かの専門家にはなれない性格だと、自覚していた。生粋の総合者であり、バランスの取れた男だった。30歳という若さで亡くなったのが、あまりにも惜しい。

地理を大切にした松陰。ぼくもなぜか昔から、地理が好きだった。地図帳を眺めているのが好きだった。

(ここにこんな半島があるんだ。この島へはここからフェリーで行けるのか。ここが日本の最南端なのか)

社会人になって、日本地図から世界地図に変わったが、

(ここにこんな国があるんだ)

と本質はあまり変わっていない。

観光地はあまり好きじゃない。その土地のものにふれた瞬間がいちばん楽しい。その土地のお酒だったり、言語だったり、食材だったり、その土地ならではのもの。観光客に対してのものではなく、その土地の日常にふれたい。

高校1年のときにサッカー部を辞めてから、放課後にランニングをするのがぼくの習慣になった。

追浜から京急富岡まで、15kmくらい走っていた。最初は道に迷いながら、様々な道を開拓していった。知らない道を走っていても、いずれ知っている道に出てきたときの快感は、このときに覚えた。だから道に迷うことも好きだった。

一度友達を連れてランニングしたときに、「間違ってるかもしれないじゃん」と、道に迷うたびに不安そうになる様子を見ていて、「道に迷うの楽しくない?」「楽しいわけねえだろ」と言われ、初めてそういうものなのか、と思った。

「きっとどこかに繋がってるよ」
「間違えたとしても引き返せばいいじゃん」

そう言っても、通じなかった。

でもぼくは、そうして迷いながら、ひとつずつ道を覚えていった。

自転車旅の楽しさは、知らない道を走ることにある。知らない道を走っていった先に、大阪や長崎といった、見たことのある風景にぶち当たる。車も電車も飛行機も使わず、自分の力でここまでたどり着いたという実感。

その快感を伝えようと思っても、実際にやってもらわないと、わかってもらえない。でもほとんどの人はやらない。だからこそ、これまで自転車で旅した10000km以上の道のりは、ぼくにとって一生の財産だと思うのだ。お金で買える体験ではない。やらなきゃ得られない。

地理の大切さを強く感じたのは、社会人になって、たまたま出会ったあるフランス人とのやりとりがきっかけだった

日比谷の定食屋に入ってきた、観光中のフランス人家族。

「Where are you from?」と聞いた。

「フランスだよ」

「フランスのどこ?」

「ランスという町だよ」

「どっちのランスですか?」

多分、そんな聞き方をできる人は少ない。ぼくは旅行雑誌の編集をしていたから、フランスには有名なランスという町が2つあることを知っていたのだ。

「大聖堂で有名なランスだよ」

「ああ、世界遺産の方ですね」

「よく知っているな」

と、この会話だけで仲良くなった。でもきっとそうなのだろう。たまたま出会った極東の日本人が、自分の住んでいる町について知っていたら、嬉しいだろう。

あるフランス人との出会いと、意図的な奇跡

ぼくだって、もし彼が地元・横須賀のことを知っていたら、とても親近感が湧くはずだ。地理というもののチカラを、このときに知った。

様々な土地を訪れることには、人と人を繋ぐ力がある。

「え、◯◯出身なの? あそこの神社、階段きついよね」

「よく知ってるね!」

そういう風に、ぼくは初めて会った人たちと仲良くなってきた。地理は絶大なコミュニケーションツールだ。

松陰も、きっとそのことを知っていただろう。

ぼくもまだまだ、旅を続けたい。その先には、人がいる。

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挑戦は続く。

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