Nakamura Yota

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アメリカ留学で学んだこと

   

2年前、アメリカ・サンディエゴで通っていた語学学校には、中国人のグループがいた。クラスでは、「中国人VSその他の国籍」という対立が生まれていた。

20歳前後の中国人の生徒たちは、自主的に学校に来ているような生徒がおらず、みんな授業中にイヤホンをしてスマホでゲームをしたり、YouTubeを視聴していた。そして先生の会話も遮って中国語で会話をするから、他の生徒たちからかなり煙たがられていた。

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だけど、孤立している中国人の生徒たちも、日本人であるぼくには心を開いてくれるようになった。確かに「真面目に授業聞けよ」とはぼくも思ったけど、彼らが「悪」なわけではなくて、国民性とか、そうなってしまう背景には様々な事情があるわけで、きっとぼくも中国に生まれて同じような立場でいたら、同じような行動をしてしまうのだろう。そう思うと、不思議と彼らにも愛着が湧いてきた。

彼らは絶対に他の国の人たちに話しかけたりしないから、こちらから積極的に話しかけた。「その靴、かっこいいね」とか、「これは中国語で何ていうの?」とか、「何食べてるの?」とか。すると、徐々に彼らもぼくに心を開いてくれるようになった。

そのうち、ひとりの友達ができた。ティンハオという中国人だ。

彼もまた、ろくに授業を聞かない問題児だったが、少しずつ、良い方向に変わってきた。授業中に抜け出してどこかへ行ってしまうことも減ってきた。

彼とFacebookで友達になってから、翻訳機を使って、ぼくの投稿に日本語でコメントをくれるようになった。

そのティンハオがある時、「明日の授業が終わったら、ランチに寿司を食べませんか?」と片言の英語でメッセージしてきた。学校の近くに、手軽にランチを食べられるお寿司屋さんがあるので、きっとそこへ行きたいのかなと思った。彼から声をかけてくるなんて珍しいし、「いいよ、行こう」と返信した。

そして昨日の授業後、「よし、ティンハオ行こうか」と言うと、

「Uberで行きましょう」と言う。

歩いても行ける距離なのに、なんでUberなんだろうと思ったけど、彼に任せることにした。そして車に乗り込むと、高速道路に入っていった。いったい、どこへ行くんだろう?

20分ほどして、目的地に着いたらしい。車を降りると、立派なお寿司屋さんがあった。

「え、ここなの? こんなに高いお店、ぼく無理だよ!」

そこは、口コミサイトの「トリップアドバイザー」で、サンディエゴにあるお寿司屋さん全194件中1位のお店「寿司太田」だった。イチロー選手が遠征でサンディエゴに来る際は、必ず訪れていたお店だという。

「Don’t worry. お金は心配しないで」

お寿司はもちろん、おいしかった。スペイン産のまぐろの中トロ? は絶品だった。

サービスも良かった。金額も良かった(笑)

スーパーに行くと、普通の玉ねぎにするかオーガニックの玉ねぎにするか、数十セントの差でさえ悩んでしまっていたぼくには、とても考えられる金額ではなかった。「食べたいものを食べて」と言われても、安めの巻物を頼んでしったり、無意識にセーブをかけてしまう。それでも、決して安くはないのだけど・・・。

だけど、お寿司の味も吹っ飛びそうになるほど驚くことがあった。

「そういえばティンハオは何歳なの?」
「16歳」
「え?」
「16歳だよ」

なんだと…?
What happened!?

世界は広い、ということを知った。この3ヶ月間のアメリカ留学は、良い意味で、ぼくの価値観を壊してくれた。お父さんは上海で二つの会社を経営しているそうだ。いずれそこで働くことになるだろう、と話していた。

サンディエゴでは家賃30万円の家に暮らしていて、学校までは毎日ドライバーが送ってくれていた。片道40kmを。まるで漫画の世界だった。

その後、近くのスタバへ行き、しばらく話していた。

「AKB48が好きだから、日本に行きたい。秋葉原」

聞けば、まだ中国とアメリカ以外の国には行ったことがないという。

「OK。そしたら、東京を案内するから、来るときは絶対連絡してな」

「Thank you Yota-san! You are good Japanese friend.」

16歳とわかって、たどたどしい英語が途端にかわいく思えてきた。彼にとってぼくは、もしかしたらサンディエゴで初めてできた中国人以外の友達なのかもしれない。

それ以降、

「今度は中華料理を食べよう」

「一緒にロサンゼルスへ行きたい」

と頻繁にメールを送ってきてくれた。「ホームステイの家族とトラブルがあった!」と突然電話をしてきたり。家族もいない異国の地で、寂しかったのかもしれない。だって16歳だもんなあ。

だけど、こういう思わぬ交流が生まれたのは、ニュートラルな視点で人を見られたからだと思う。「もしも自分がその国で生まれていたら」と想像すると、大体のことには寛容になれる。

対立は何も生まない。広い心で人と接することが大切だ。日本人、中国人以前に、同じ人間なのだから。

日本でも、英語を学べる環境はたくさんある。それでもアメリカ留学して良かったと思うのは、視野や価値観が広がったから。そして、「外国人とコミュニケーションするうえで大切なことは、言葉以外にもある」と学べたからかもしれない。

ぼくはそれまでほとんど興味のなかった中国を、アメリカから帰国した翌年、生まれて初めて旅行で訪れた。

 

※この記事は、海外留学のEFが開催するブログコンテスト「私のトラベルストーリー」への応募として書かせていただきました。
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