フランス

南フランスの美しい村々

投稿日:2018年4月1日 更新日:

昔、自転車でヨーロッパを旅していた際、いつまでも眺めていたいと思ったのが南仏ニースからモナコにかけての景色です。一方に地中海、もう一方に鷲の巣村が広がる美しい道でした。

このニースを中心とする南仏の一帯は、1887年、詩人ステファン・リエジュールによって「コートダジュール(=紺碧海岸)」と名付けられました。その美しい響きに吸い寄せられ、今も世界中から訪れる人々を魅了し続けています。

温暖な気候、輝く青い海、そして新鮮な魚介類。内陸に目を向ければミモザ、スミレ、バラなど季節を問わず花が咲き乱れ、芸術家たちが愛した小さな村々は時が止まったかのように静かに佇んでいます。

今回はおすすめしたい南仏の街や村をご紹介しましょう。

地中海屈指のリゾート地 ニース

ニースの歴史に多大な影響を及ぼしたのは、この街が冬でも暖かいことに気付いたイギリス人たちでした。1822年には、彼らの支援で海沿いの遊歩道「プロムナード・デ・ザングレ」が建設され、20世紀に入ると貴族が次々と別荘を建て、華やかな社交の舞台となりました。

プロムナードを歩いているとやがて目に飛び込んでくるのが、ニースの象徴「ホテル・ネグレスコ」です。世界の王侯貴族や大富豪たちを迎え入れてきたホテルで、他を寄せ付けない威厳を持った、芸術品のような建築です。

また、ニースにある二つの美術館も見逃せません。マティス美術館にはヴァンスのロザリオ礼拝堂を装飾するための習作を集めた部屋があり、礼拝堂の模型から壁絵のデッサンなどが展示されています。シャガール美術館では17点の油絵で構成される旧約聖書をテーマにした超大作、そしてコンサートホールの美しいステンドグラスに目を奪われました。

庭園からの眺めはまさに絶景 エズ

標高400メートルの断崖絶壁に位置するエズがかつて漁村だったと聞いたときは驚きました。漁を終えた男たちが日々この山道を登っていたのだと想像すると、それだけで息が苦しくなってきます。

しかし、一度エズ庭園からの眺めを見てしまうと、誰もがこの村の虜になるはずです。紺碧の地中海を、これほど美しく眺められる場所を他に知りません。天気が良ければコルシカ島まで見えます。

中世の面影を残す村 サンポール・ド・ヴァンス

これまでヨーロッパの様々な町や村を訪れてきましたが、サンポール・ド・ヴァンスほど心をくすぐられた村は他にありません。一歩足を踏み入れた途端、ノスタルジックな雰囲気が漂います。

緩やかな坂に、細い石畳の路地が続いているだけですが、中世から時が止まったような村で、どこを切り取っても絵になりました。おとぎ話の世界に迷い込んだかのようです。

お店もいちいちオシャレで、安っぽいお土産屋さんではなく、売られているものはどれもハイセンスなものばかり。セレブに人気だというのも頷けました。女性でしたら確実に虜になってしまうでしょう。

村の入り口から10分も歩けば端まで行けてしまいますが、一日滞在しても飽きません。30年間住んでいたシャガールのお墓もこの村にあります。

非日常の夢の世界 モナコ

ニースからぜひ足を延ばしていただきたいのが、バチカン市国に次ぐ世界で2番目に小さい国、モナコです。1297年、修道士に変装したフランソワ・グリマルディが、ジェノヴァ人の築いた要塞を占領。モナコ公国の歴史はここから始まりました。

150年ほど前までは何もない岩山だったモナコですが、地中海と陽光によってこの地が高級リゾートになると予見したシャルル3世が、19世紀半ばにカジノや高級リゾートを次々と建設。これにより、モナコは一躍「ヨーロッパの高級社交場」となったのです。

現在もカジノはもちろん、F1グランプリが開催される場所としても有名です。お馴染みのトンネルやヘアピンカーブも見られます。

クルーザーと高級ホテルが立ち並ぶ景色は圧巻で、さらにモナコの夜景は長崎、香港とともに「世界三大夜景」にも選ばれています。少々物価は高めですが、公妃グレース・ケリーゆかりの華やかな土地での滞在は、印象深い旅の思い出になるでしょう。

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