今日は自己研鑽。銀座で3時間の文章講座を受けてきました。
ブログを始めて9年、書くことを仕事にして7年になりますが、これまで「文章の書き方」を誰かから教わったことはほとんどありません。
それで、一度他人から教わってみたいと思いました。「何か新しいヒントが得られるかもしれない」という期待と、「どういう風に書き方を教えるのだろう?」という先生への興味がありました。
ときどき「文章を書くのが苦手」という声を聞きます。しかし、ぼく自身は普段あまり意識せずに書いてしまっているので、正直良いアドバイスができません。
これまで蓄積してきたノウハウを棚卸しして、人に文章の書き方を教えられようになったら喜ばれるんじゃないかな、という思いもあり受講を決めました。
講師は、新聞記者、コピーライターを経て文筆家として独立された方で、雑誌、情報誌、書籍、WEB、広告、新聞など様々な媒体でご活躍されています。
「『読ませる文章』と『読まれない文章』。その違いは、どこにあるのでしょうか?
どうしたら、読者はあなたの文章を読んでくれるのでしょう。
・読みやすい
・わかりやすい
これは大前提。いわば当然のことです。
・表現方法や比喩が絶妙にうまい
・文章にリズム感がある
・題材の切り取り方、構成が良い
・テーマの選び方がいい
これらも確かに大切だけど、必須というほどの条件ではありません。
『読ませる』『伝わる』文章の条件は、二つあります。
ひとつは、「共感」を呼び覚すこと。書かれたことを読んで、自分のことのように感じる。「そうそう」「あるある」と思う。
もうひとつは、その人のフィルターを通した「発見」を与えてくれること。新しい情報、新しい視点や気付きがあり、「へえ、そうなんだ」と思うようなことが書かれている。
この条件が揃うと、人は、つい読んでしまうのです」
ここまではぼくも同じようなことを思っていたのですが、今日の収穫はここから先。
この「共感」と「発見」を、「五感」を使って描写することで、さらに「読ませる」文章に変わる、というお話でした。
①ここにあるのは、とにかくおいしいリンゴです。
②太陽の光を浴びて育った、香り豊かで真っ赤なリンゴ。甘みたっぷりのジューシーな蜜が今にもこぼれ出しそうです。
この二つの文章は、圧倒的に②の方が五感に訴えかけてきて、おいしそうに感じます。
五感を使った描写というのは、過去の記憶を刺激して、頭の中で再現させ、イメージを広げる作用があるそうです。
確かに「黒板を爪で引っ掻いたような音」という言葉を読んだだけであの嫌な音を思い出して耳を塞ぎたくなります。
おもしろいのは、まだ黒板を知らない小さな子どもは、この想像が働かないということです。
「だから大人は、経験の数だけ『言葉』を持っているんです」
という話が印象的でした。
あとは、五感を使った「シズル」も効果的だよ、という話。
たとえば、グンゼというメーカーが、かつてストッキングのキャッチコピーとして、
「ふくらはぎ脚すっきり美しく」
と謳っていたのですが、これを
「ふくらはぎキュッと脚すっきり美しく」
に変えただけで、ストッキングの売り上げは2倍になったそうです。
居酒屋の看板も、
「新鮮なお刺身が自慢です」と書くよりも、
「プリプリのお刺身が自慢です」と書いた方が、より新鮮な印象を与えられるのだとか。この辺りはコピーライティングのお仕事もされていた先生ならではのお話だったと思います。
最後に、教わったことを生かしつつ、「私の住んでいる街」というテーマで400字の文章を書いて、参加者8名でひとりずつ発表して、先生から講評をいただいて終了。
原稿用紙に書く経験があまりなかったので、新鮮でした。感性が刺激されます。
他の参加者のレベルは高く、とくに「趣味で小説を書いている」という方は、自分には持ち合わせていない表現をたくさん持っていて勉強になりました。
書くことの大切さを感じる反面、これからの時代は書くことだけで勝負するのは難しくなりそうだな、という印象も持ちました。いずれにせよ、良い自己投資でした。