リスボンは快晴。待っていたのはこの暑さだ。今まで通ってきた国は、既に日本の秋くらいの気温で涼しく、8月に寒さを感じるのは日本人として落ち付かなかった。やっぱり夏はこうじゃないと。リスボンは湿気がなく風があるので最高の気候だ。
ツール・ド・ヨーロッパ
第16ステージ
リスボン~ロカ岬~シントラ
85.5km
今日は精一杯自転車で走った。まずはリスボンの市街地と海へ出てみた。坂、細い路地、路面電車が見事にマッチング。
そしてなんと美しい海だろうか。
上っては下りを繰り返し、ひたすら西へ向かう。時折姿を現す海は反則級に綺麗だ。波がキラキラと輝いている。
しかし坂が多くて大変だ。そういえば、今までの国ではほとんど坂道がなかった。だからかなり足が鈍っていたようで、お尻まわりの筋肉が悲鳴を上げた。
ガソリンスタンドで水を補給した。こっちはコンビニがない代わりに、ガソリンスタンドにコンビニのようなお店が備わっていることが多い。警察官が雑誌を立ち読みしていたがいいんだろうか。。ピストルを持っているから写真を取れなかった。
大西洋に近付くにつれて、風の種類が変わってきた。ビューという音しか聞こえない。雲も見たことのないような形だ。冒険心を掻き立てられる。風が強過ぎて、しかも坂道でまったく前へ進まない。
どんどん山を上っていき、はぁはぁと息を切らしながらようやく着いた。ここはロカ岬。ユーラシア大陸最西端の場所だ。ニース出身のフランス人が写真を撮ってくれた。
記念碑には、ポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの『ここに地終わり海始まる』という言葉が刻まれている。
目の前には、ただ海があるだけ。ここからアメリカ大陸まで、ひたすら海なのだ。
さて、もう夕方だ。次の場所へ急がなくては。しかし、数キロ漕ぐと空腹が絶頂へ達した。「やばい、力が入らない・・・」カバンに入れて置いたチョコもさっき食べてしまった。さっきのガソリンスタンドで食糧を買っておけばよかったと後悔。どうしよう。こんな田舎で。。
もうダメだー。と思った瞬間、パッと道が開けた。「しめた、下り坂だ!」それはかなり長い下りだった。いつの間にかこんなに登っていたのか。足を動かさなくても前へ進む。そして気持ちの良い道。ギリギリのコーナーリング。切り立った崖。まるでツール・ド・フランスのワンシーン。
更に、坂を下り切ったところにちょうど良く喫茶店があった。売っているのは焼き菓子のよう。あ、エッグタルトだ!
ポルトガルはエッグタルトが名物だと聞いていたので、ぜひとも食べてみたかった。おいしい。
よし、少し回復。目指すシントラまでは延々と上り道。標高200mまでやってきた。大した高さじゃないが荷物が重い分大変だった。太ももの前がつりながらも、なんとかシントラに到着。シントラは世界遺産にも登録されている観光地だ。ぼくは以前、シントラの美しい風景をネットで見て、ここに行ってみたくなった。これがその写真だ。エデンの園だ。
この写真の場所へ行ってみたい。といっても街は結構広い。見つかったら奇跡だ。そのうち、家が段々になっていて綺麗な場所を見つけた。
もうあの写真のことは忘れていたが、ふと後ろを見たら気になる場所があった。
あれ?もしかしてこの形は!!?
向こう側から、この枠を通して見れば・・・
キターーーー!!
写真とまったく同じ風景だー!写真だけが手掛かりだったから、推理ゲームみたいで面白かった。想いは通じるものですね。
夜8時にリスボンに戻ってきて、終電でコインブラという街へやってきました。「自転車は乗せれない」と言われたが、なんとか交渉して乗せることができた。良かった良かった。
夜中の24時に宿に着き、死んだように眠りました・・・
最後はリスボンの高台からの眺めを。