自転車でアメリカ西海岸縦断の旅
ツール・ド・西海岸 第15ステージ
ユーレカ(Eureka)〜 クレセント・シティ(Crescent City)
142km
まずは映像をどうぞ。
カリフォルニア最後の大きな町クレセント・シティ。教えられた住所に辿り着くと、そこは教会だった。
「ようこそ、カティよ」
カティおばさんはこの教会の持ち主。ホストとして、これまでに世界中のサイクリストたちをここに泊めているという。教会横の施設で寝させてもらえることになった。
同じ部屋に、オーストラリア人のカップルがいた。マイケルとニコル。
彼らもまた、自転車旅をしている最中だ。シアトルから南下し、サンフランシスコまで行くらしい。
「ユーレカから、一日でここまで来たのか!?」
「ああ、本当にキツかったよ。長い道のりだった」
「峠が何度もあったろう。二日かけて行く距離だよ。すごいヤツだな」
ぼくが北上するルートを取っていることもあり、同業者(?)からもリスペクトされた。
「たくさん作っちゃったから、Yotaも食べて」
ボロネーゼのパスタが夕食になった。アメリカ人が作る味とは全然違って、おいしい〜。彼らは毎日自炊しているという。さすが。
今日は出発したのが遅かったこともあり、長い一日だった。しかし、ついに「ポートランド」の文字が表れた。まだ遠いが、ゴールが見えてきた。
お昼はまたハンバーガー。注文してテラス席で待っていると、突然おばちゃんたちに声をかけられた。
「あなた、お腹空いてるでしょう? これ、食べなさい。フィッシュ&チップスよ」
「え? いいんですか?」
「このお店は待ち時間が長いから、自分のが来るまで食べてなさい。あなた自転車で遠くから来たんでしょう」
「サンディエゴから来ました」
「まあ・・・!」
ひとしきり事情を話して、最後におばちゃんのカメラでパシャっと撮られて、「じゃあね。気をつけて行くのよ」と彼女たちは去っていった。
実に旅らしい。
その後は、ひたすら峠道。何度も坂を登り、何度も下った。そして途中から、自転車がおかしくなった。下っているときに、ときどき「キーー」と危なげな音を出し、ハンドルが一瞬効かなくなる。
これは危険だ。明日の朝、自転車屋さんで見てもらうことにする。なんとか無事に町に辿り着いてよかった。
サンフランシスコを出発してから、この5日間で613km走ってきた。これは東京から姫路くらいまでの距離。
今日がカリフォルニア最後の夜。いよいよ明日、オレゴン州に突入する。