自転車でアメリカ西海岸縦断の旅
ツール・ド・西海岸 第16ステージ
クレセント・シティ(Crescent City)〜 ゴールドビーチ(Gold Beach)
89km
まずは映像をどうぞ。
目次
ファーストクラスの世界一周航空券
昔、本田晃一さんの講演会で、こんな話を聞いた。
本田さんは新婚旅行で世界一周の旅をしようとして、調べていると、「世界一周航空券」があることを知った。エコノミークラスなら30万円台、ファーストクラスでも95万円から買える。
「世界一周する」という目的だけを考えれば、エコノミークラスでもよかったかもしれないが、彼はあえてファーストクラスの航空券を買った。
すると何が起こったか。ファーストクラスに乗っている人たちというのは、世界的な実業家であったり、とんでもないお金持ちの人たちであることが多い。というのも、たとえば東京からパリの往復で普通にファーストクラスに乗ったら、250万円するからだ。
そんなお金持ちの人たちから若い本田さんは珍しがられて、話をするうちに何人かと仲良くなった。そして家に招かれたりして、お金では買えない経験をしたのだという。「金額以上の価値があった」という話だった。
バスキアの絵画
「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの前澤友作さんは、現代アートの蒐集家として有名だが、彼が昨年、バスキアの絵画を62億円で落札して世界的なニュースになった。
「このバスキア落札以降、世界中のアートギャラリー、美術館、著名アートコレクター、アーティストなどなど、今までお会いすることすらできなかった方々からのコンタクトがやみません。
パーティーのお誘いから、優先的な新作の情報提供、共同プロジェクトの提案や、展覧会への作品貸し出し依頼。とにかくあっという間にアート界の重要人物として認識され、世界のTOP100アートコレクターにも先日選出されたばかりです。
たとえばこれが、10億円の作品を6枚バラバラに買って、総額60億円分買いました、ということではここまでの騒ぎにならなかったでしょう」
と彼は語っている。レオナルド・ディカプリオの自宅にも招待されたらしい。そして前澤さんは今年また、123億円で新たなバスキアの絵画を落札した。
そういうニュースによって、宣伝効果もある。結局、金額では決して測れない価値がある。
「かしこいお金の使い方」について考えさせられる。
インパクトの大きさが、人と運を引き寄せる
2つのエピソードに共通するのは、「インパクトの大きさに、人が引き寄せられている」ということ。人だけでなく、運も引き寄せていると思う。
「かしこいお金の使い方」とは少し違うかもしれないけど、ぼくが昔からやっている自転車旅も、似たものを感じている。
「サンディエゴから自転車でやってくるなんて、それは会わなきゃダメだろうと思いました」と、サンフランシスコでお世話になった方から言われた。他の方にも、同様のことを言われた。そして、GoogleやAppleの方に繋いでいただいたり、普通に旅していたら決して得られなかった体験や経験を得ることができた。
これは今回に限らず、以前の自転車旅や、徒歩で東海道を旅したとき、無一文で四国を旅したときも、同様のことが起きた。
「人がやらないこと」「インパクトの大きいこと」をやっていると、フックに引っかかりやすい。「この人に会いたい!」と思ってくれる人は多くなり、そこからおもしろい何かが生まれてくる。
ぼくはそれを狙ってやっていたわけではないが、どうも今までの旅の経験を振り返ってみると、結果としてそうなっているようだ。ぼくが普通に電車を使って旅していたとしたら、スポンサーなんて決して集まらなかっただろう。お金がないなら、発想で勝負するしかない。どうしたらお金をかけずに、インパクトの大きなことをできるかと。結局、それが人と運を引き寄せ、お金を生み出すことになる。
オレゴンに突入
長かったカリフォルニア。
サンディエゴから約2000kmを走り、ようやくオレゴン州に入った。
昨日、70日ぶりくらいに浴槽に浸かり、あまりの気持ち良さと、疲労が全て溶け出してきた感があって、そのままお風呂で爆睡してしまった。
疲労はピークにきているが、ポートランドまで、あと5日。最後まで頑張りたい。