自転車でアメリカ西海岸縦断の旅
ツール・ド・西海岸 第3ステージ
ロサンゼルス(Los Angeles)〜 ベンチュラ(Ventura)
145km
海沿いの道がずっと向かい風で、今日は本当にキツかった。朝8時に出発して、着いたのは18時過ぎ。後から測ったら145kmも走っていた。どおりでキツイわけだ。あまりの疲労で、このブログを書きながら5回くらい意識が飛び、そのまま寝てしまった。朝6時から続きを書いている。
こちらは映像。
Kyleの家を出発して、近くのお店でハンバーガーの朝食。
ロサンゼルスでは寄り道して、Paul Smithのウォールアートを見た。レインボーで素晴らしい。
サンタ・モニカに着き、ようやく海に出た。
この時点で11時、しかしまだ80kmも残っていて、絶望した。腰が痛くなってきたし、疲れもなかなか取れない。
とりあえず、次の町まで頑張ろうと決めて、マリブを目指した。13時近くなったところで、道沿いに行列のできていた飲食店を発見したので、そこへ立ち寄った。
適当に注文して席に着くと、近くに座っていた二人組のおじいさんに話しかけられて、そのまま隣に座ってずって話していた。
「たまたまここに立ち寄ったのかい?」
「はい、なんだか行列ができていたから、おいしいのかなと思って」
「正解だよ。ここは人気の店なんだ」
自転車旅のことを話したら、別れ際に食べ物を分けてくださった。素敵な体験だった。
午後は向かい風との戦いだった。
そして30km近く、レストランも売店も、何もかもなかった。途中で飲み物が尽きそうになり焦ったが、その後ようやく小さな町に入り、補給ドリンクを買えた。
これを考えると、日本はすごい。いたるところにコンビニがあるし、田舎へ行っても自販くらいはどこでも置いてある。こっちには自販がない。
太腿が日焼けで火傷状態になってしまった。太陽を浴びると猛烈に痛い。
何はともあれ、10時間かかってようやくベンチュラに着いた。
この町に、パタゴニアの本社があるので外観だけ見てきた。
そして、自転車旅を愛する人たちのコミュニティで知り合ったジャックさんのお宅にお邪魔している。ホテル代をできるだけ浮かすため、暇を見つけては近くに住む人に「一晩泊めていただけませんか?」とメッセージを送っている。
知らない人を泊めるなんて日本ならそんな簡単に成り立たなそうだが、アメリカでは2、3日前に連絡しても「ウェルカム」と言ってくれる。その大らかさがアメリカらしい。
「よく来たね。君に会うのを楽しみにしていたんだ」
と歓迎してくれた。
「ベンチュラにはパタゴニアの本社がありますよね?」
「ああ。昔、パタゴニアはぼくのスポンサーだったんだ」
驚いたことに、ジャックさんは元プロのロードレーサーだったのだ。当時の写真をたくさん見せてくれた。
彼は8年間現役生活を送り、その後いくつかの仕事をした。そして40歳を過ぎてから、今度は2年間かけて世界中を自転車で旅した。これまでに訪れた国は53ヵ国。その多くを自転車で訪ねたそうだ。
だからこそ、世界中からの旅人と話すのが好きなのだそうだ。
「日本人を泊めたのは君が初めてだよ」
洗濯もさせていただいた。
ベンチュラという、それまで聞いたこともなかった町が、心の中で色彩を放つようになるのは、このような出会いがあるからだ。