自転車でアメリカ西海岸縦断の旅
ツール・ド・西海岸 第5ステージ
ブエルトン(Buellton)〜 サン・ルイス・オビスポ(San Luis Obispo)
115km
まずは映像から。
今日は115km。サンディエゴを出発してから5日で600km近く走ってきた。日本でいえば、東京から大阪の距離を越えた。
ぼくは驚いている。なぜなら自分の身体が最も元気だった頃と、ほとんど同じ距離を走っているからだ。
ふと、今年1月4日に書いたブログを思い出した。
バカにされるかもしれませんが、今年の目標は、「19歳になる」ことです。
実際は29歳ですが、気持ちは19歳でいたい。「この程度」「これが限界」と自分を決めつけることなく、可能性に向かって、自分を信じて、やりたいことに挑戦していた19歳の頃。今のぼくが真っ先に取り戻さないといけないのは、あのときの気持ちだと思うのです。見るもの全てが新鮮で、なんでも挑戦できて、ワクワクしていました。
「何かを学ぶにしても、仕事をするにしても、年齢は関係ないでしょう? 私は71歳で写真家の仕事に復帰しても、年齢のことなんて一切言わなかったわ。『自分は何歳だから』と考えて行動するのは好きじゃないの」
102歳を超えて、未だに「現役」の写真家・笹本恒子さんの言葉を聞くと、アラサーだからどうだとか考えている自分がバカバカしくなってきます。シンプルに、好きなことをやっていこう。今がいちばん若い。
身体と精神は密接につながっていて、きっと身体を取り戻せば、心もついてくるはず。だから毎朝ランニングをしています。19歳の頃の健全な身体を取り戻し、そして健全な精神を復活させたいです。
もちろんこれを書いたときは、ぼくが今アメリカ西海岸を自転車で旅しているなんて、1mmも想像できなかった。だけど本当に19歳の頃と同じように身体を使い、文章も書いて、当時よりも高いクオリティでアウトプットできている。それが素直に嬉しい。
今日はブエルトンを出発し、しばらくハイウェイを走行。小さな峠が2回あった。
11時頃、小腹が空いたのでホテルでもらってきたパンを2つ食べた。頑張って節約している。
さらに2時間走り、ニポモという町のスーパーでお寿司を買い、外で座って食べた。ライフガードを飲みたいところだが、残念ながらアメリカには売っていないのでレッドブルでエナジー補給。
さらに2時間ほど走って、サン・ルイス・オビスポの町に到着。
メインストリートで自転車屋さんに寄り、膝用のウェアを買った。もちろん、日焼け対策に。
今日はこのように長ズボンで走ってみたのだが、これが正解だった。まったく日焼けの痛さがなかった。ただ、暑い。
だから明日からは、膝用のウェアを履いて、さらにショートパンツを履いて、走る。これで完璧だ。
まだ500km近くあるが、サンフランシスコが視野に入ってきた。(道路標識はkmではなくマイル表記)
当初の予定よりも2日早いペースで走っている。こんなに頑張っているのは、一日でも長くサンフランシスコに滞在したいからだ。
・Facebook本社
・Airbnb本社
・スタンフォード大学
を、それぞれ社員の方、学生の方に案内していただけることになった。この2つのオフィスは通常内部に入れないので、とても貴重な体験。
他にも話題のコワーキングオフィス「WeWork」を見学する予定で、本当に楽しみだ。その他、サンフランシスコでおすすめのカフェやレストランなどありましたらぜひ教えていただきたい。
サン・ルイス・オビスポの町には、「カリフォルニア州立工科大学」がある。今夜はなんと、この大学の学生寮に泊めていただけることになった。歓迎してくれたのは、3年生のマヤさんとニコルさん。彼女たちが住む部屋の一室を使わせてくれた。
どちらもアメリカ人だが、ニコルさんはおばあちゃんが日本人で、4分の1は日本の血が流れているらしい。日本人と話す機会がほとんどなかったらしく、興奮した様子でドラえもんのぬいぐるみをぼくに見せてくれた。日本にはまだ行ったことがないが、ドラゴンボールとスタジオジブリが大好きだそう。
少しだけキャンパス内を案内してくれた。ちょうど今日が学期末の日だったらしく、9月まで長いバケーションになる。だからどの学生も嬉しそうだった。実家に帰るために支度をしている人も多かった。
元素の周期表が置いてあった。それぞれの箱の中には、本物の元素が入っている。これは面白い!
落ちてしまったが、ぼくは浪人して東大理学部を目指していて、化学が得意だった。だから元素を36番まで、未だに諳んじて言える。
「水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ネオン、・・・・臭素、クリプトン」
全部言ったら、彼女たちも驚いていた。言語以外に共通認識があるのは面白い。
夕食にパスタを作ってくれた。
話すのが速く、英語を聞き取るのが少し難しかったが、彼女たちとコミュニケーションを取るのはとても楽しかった。アメリカの学生たちの普段の生活をうかがい知ることができた。こんな機会はなかなかないだろう。
「スタジオジブリもいいけど、『君の名は』という映画もおすすめだよ」
と話したら、ネットで探してきて23時から鑑賞し始めてしまった。ぼくも1時過ぎまで一緒に観ていた。
最後にはとても感動していた。こういう反応を見られるのもいいな、とぼくはうとうとしながら思っていた。