ベルリン生まれのコインランドリー
「ランドリーの時間をもっとみんなに楽しんでもらいたいんだ。単に洗濯をするだけの場所にしたくない」
フレディ・レックさんのそんな想いから生まれた「フレディレック・ウォッシュサロン」は、2008年にドイツ・ベルリンにオープンしました。店内には小さなカフェスペースがあり、鮮やかな壁紙やアートワーク、オブジェなども配置。地元の人たちが集まるコミュニティサロンとなり、世界中のメディアから注目されました。
その頃、商社で商品企画に携わっていた松延友記さんは、ある日「ランドリーブランドを立ち上げてほしい」と会社から命じられます。
様々な情報を収集するなか、偶然雑誌で見つけたのが「フレディレック・ウォッシュサロン」でした。
すぐにベルリンに飛び、「日本でもこんなサロンを作りたい」と想いを伝えます。しかし、そもそもドイツと日本では、洗濯の文化が異なります。水質も異なるし、ドイツでは「洗濯物を外に干す」ということもまずしません。
いきなりサロンを輸入をしてもうまくいかないので、まずは洗剤や柔軟剤、ランドリーアイテムなどの物販からスタートすることにして、「フレディレック」の商品販売を通して少しずつブランドを育てていきました。
そしてようやくサロンオープンの目処が立ち、2017年7月1日に「フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー」が東京・目黒区(学芸大学駅)に開業しました。
明るく開放感のある店内には、洗濯機が2台、乾燥機が9台、洗濯乾燥機が4台設置。乾燥機ではドラム内の空気を入れ替えてくれます。
最近は乾燥機だけを使う客が増えているとか。営業は24時間です。
乃木坂46の20thシングル『シンクロニシティ』のジャケット写真もこのお店で撮られたそうです。
お店を眺めていると、布団を洗濯しているお客さんがとても目立ちました。ここで羽毛布団を洗って乾かすと、ちゃんと羽毛が中で立ち上がり、フカフカに仕上がるそうです。
そして最大の特徴は、カフェが併設されていること。「待ち時間」をビジネスに変える好例です。
コーヒーも本格的ですし、「フレディレック」のロゴが入ったマグがまたおしゃれ。マフィンやブラウニーも人気のようです。
嬉しいのは電源とWi-Fiがあること。この記事もお店でアイスコーヒーを飲みながら書いています。
「洗濯代行サービス」が大人気
常駐するスタッフは、コーヒーを入れたり、洗濯物を畳んだりしています。なぜスタッフが洗濯物を畳むのかというと、このお店のもうひとつの人気サービスが、「洗濯代行サービス」だから。
洗濯物を袋に詰めて持ち込むと、洗濯、乾燥、畳みを代行してくれます。料金は、30リットルの袋に詰め放題で1500円、50リットルで2200円。
使用する洗剤は植物由来のもので、繊維が傷みにくく、乾燥機はガスを使用するためふっくら仕上がるといいます。朝渡すとその日のうちにでき上がります。さらに400円プラスすると自宅まで配送してくれます。
売れ行き好調の背景には、働く女性が増えたことも関係しているそうで、「家事の負担を減らし、少しでも時間を効率的に使えるように」という気持ちが反映されている模様。
関東も梅雨入りし、まさにこの時期の悩みが「洗濯物が乾かないこと」です。昨年の秋雨の時期は、洗濯代行サービスの売り上げが150~200%売り上げが伸びたそうなので、6〜7月はさらなる混雑が予想されます。
これまでのコインランドリーの常識を大きく覆すフレディレック・ウォッシュサロン。待ち時間も楽しめる新時代のランドリーは、地域コミュニティに欠かせない存在になりそうです。