3年前の4月ことだが、義姉の実家がある山梨県の石和温泉を目指し、二子玉川から自転車で115kmを走った。朝7時半に二子玉川を出発し、高尾からは甲州街道をひたすら西へ進んだ。最後の笹子峠を登り切り、トンネルを抜けると、気持ちのよい下り坂があり、そして一気に視界が開けた。
南アルプスが背後に控える、甲府盆地だ。そして、盆地のあちこちがピンク色に染まっていた。遠目ではそれが何なのかわからなかったが、横目に見えた「笛吹市は日本一の桃源郷」の看板でハッと気付いた。桃の花が満開だったのだ。
こんなに見事な景色が見られるとは思ってもみず、旅の疲れも吹き飛んだ。急ぐ必要はない。車の通らない花畑の間をゆっくりと走り、春の風物詩を間近で愛でながら石和温泉に到着した。
翌日は、義姉の家族が、車で絶景ポイントへ連れて行ってくださった。農家の方しか行かないような高台の畑からは、菜の花と桃の花のコントラストが楽しめた。埼玉県の権現堂の桜と菜の花も素晴らしかったが、ピンクの濃い桃の花もまた心に残る風景だった。