2010 ツール・ド・ヨーロッパ(スポンサーを集めて自転車で西ヨーロッパ一周の旅) スペイン

【自転車旅】ツール・ド・ヨーロッパ(28)ジローナ〜オロト

投稿日:2010年9月1日 更新日:

ブログに書いたとおり、昨日の夜アレキサンダーと知り合った。彼は「明日はバスでオロトへ行く」と言っていた。オロト・・・聞いたことのない街だ。そこはジローナより更に内陸部でピレネーに近いところ。火山の街らしく、火山地帯のトレッキング(ハイキングみたいなもの)をするのだとか。

なかなか楽しそうだな。だけどぼくは明日フランス国境の方へ行くつもりだ。楽しんできてくれ、という感じだった。

しかし、縁とは面白いもので、ぼくはその引力に逆らうことはできないのだ。

ツール・ド・ヨーロッパ
第28ステージ
ジローナ~オロト(緑の道)
61km

昨日はブログを書いて、結局寝たのは3時過ぎだった。スペインの生活時間に慣れてきてしまった。こっちは日本より2時間くらい日が長い。21時くらいから夜が始まるという感じだから、自然と時間感覚が伸びてしまう。

だけど、だいぶ旅にも慣れてきた。自転車のスピードも上がってきたし、街に行ったらまずスーパーを探して水を買うだとか、宿に入ったらまず何をするだとか、段々とルーティーンワークも固まってきた。コミュニケーションも、英語の文法はひどいが、言いたいことはほぼ伝えられるようになった。9割はジェスチャーと顔の表情でカバーしているが・・・。それでもすぐに人と打ち解けられるし、日本を出たころよりずいぶんたくましくなったと思う。

さて、頑張って8時に起きた。朝は2時間でジローナを観光。小さな街で助かった。

残っている城壁。

この城壁の上に登れるのだ。このように。

 

すると、ジローナの街を一望できる。

 

カテドラル(大聖堂)行ってみよう。

ジローナに来る観光客はあまり多くない。しかし、ある物を目当てにわざわざジローナへやってくる人がたくさんいる。それこそ、カテドラルの宝物館に保存されている、この『天地創造のタペストリー』である。

1100年頃に作られたというこの作品。大きな刺繍布としてはヨーロッパ最古で、ロマネスク期の逸品とされている。見事な作品だった。動物の絵がかわいくて好きだ。

写真は撮れなかったが、大聖堂も素晴らしかった。観光客が少なく、荘厳で、しかもちょうどオルガンの生演奏が聴けた。神秘的な空間だった。

町並みもなかなか良かった。中世と近代が入り混じっている。

さて、ここからが今日の本題だ。昨日ジローナのシティマップを見ていて、気になったことがあった。地図の端に、「←vies Verdes」と書いてあり、そこに自転車のマークが付いていた。はて、これは何だろうか。

インターネットで調べたら、面白い情報が手に入った。

vies Verdes (英語名はGreenways)とは、サイクリングロードのことであった。『緑の道』とでも訳そうか。しかしただのサイクリングロードではない。

廃線になった蒸気機関車の線路を再整備して、そのままサイクリングロードにしてしまったという、なんとも興味深い話である。観光案内所で『緑の道』のパンフレットをもらってきた。どうやら、ジローナを出発して、60km先のオロトというところまで『緑の道』が走っているらしい。

あれ、オロト??そういえば、アレキサンダーが言っていた場所だ。別に行く必要はないのだが、なんとなくオロトに呼ばれているような気がしたのだ。直感を信じて、予定を変更してオロトへ向かうことにした。

お昼に出発した。

ジローナの街の端っこに、緑の道のスタート地点がある。小さな道なのでわかりづらい。「ここの道かな?」と思った場所に、ちょうど自転車に乗ったおじさん二人が通りかかった。

「これがヴィエスヴェルデス(緑の道)ですか?」

「そうだよ。俺たちは5km先の村まで行くんだ。」

途中までオジサンたちに付いていった。

道はダート道(アスファルトではない)なので、タイヤの細いぼくのロードバイクでは走りづらい。しかし、なんとかギリギリ走れた。本当に緑の道だ。マイナスイオンたっぷりという感じで気持ちいい。

ポプラの木が涼しげ。

本当にスペインの田舎を走っている。気分はブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン一周レース)だ。

緑の道は一般道とも並行しているので、道に迷っても心配ない。

山を登るサイクリングロードなんて初めてだ。

ゆるやかな登り坂がひたすら続く。なんと標高600mまできてしまった。本当にこんなところを電車が通っていたのだろうか・・・。しかし、時折こんなものもあり、なんとなく通っていたような気もする。

ラストはアスファルトの道で一気に下る。

この道は最高に気持ち良かった。

そして、やってきたオロトの街。とても小さな街だ。どこのガイドブックにも載っていないし、日本人はまず来ない。アレキサンダーに連絡を取って、同じホステルに泊まることにした。2時間ほど街を散歩してきた。街の中に小さな火山があり、そこをハイキングしてきた。

そして山頂からは、街を一望できた。

小さな火山とピレネーの山々に囲まれている。ここはピレネーへの入口とも言うべき街だ。

標高は500m以上。朝は冷えて、半袖では寒い。

夕食は、アレキサンダーと食べた。昨日ジローナで知り合って、今日も別の街で会うなんて・・・。縁というのは本当にあるんだなぁと思う。

また、火山を歩いていて、別の男性と仲良くなった。彼はここから少し離れた、ピレネーの麓の村に住んでいるらしい。

ぼくが泊まっているホステルの名前を言ったら、「俺もそのホステルだ」と言う。なんと、ぼくの隣の部屋だったのだ笑

ホステルでアレキサンダーに写真を撮ってもらった。名前はオグスティ。

「君はいたるところで友達を作れるんだね」と、アレキサンダーは驚いていた。実際、ぼくもなぜこんなに知らない人と友達になれるのかよくわからない。旅の昂揚からか、英語もできないくせにどんどん知らない人に話しかけてしまう。

バルセロナでも、レストランで隣に座っている人たちに話しかけて仲良くなった。彼らは仲間内で写真を撮っていたので、「ぼくが撮りましょうか?」と話しかけたのだ。そしたら「サンキューベリーマッチ」と言ってとても喜んでくれて、「どこから来たのか」とか色々聞いてくれた。

「日本人です」と言うと、このおじさんは驚いていた。

「日本人なのか?君は珍しいタイプだね。」

「どうしてですか?」

「日本人は、知らない人に対して距離を置く傾向があるだろう。わざわざ自分から知らない外国人に話しかけるなんて、君はヨーロピアンだね」

ヨーロピアン笑

さっきこのおじさんから、メールが届いた。彼はオランダ出身で、「オランダを通ることがあれば、ぜひうちに泊まってくれ」と言ってくれた。オランダのデン・ハーグだ。機会があれば寄ってみたい。

今日はフランスへの入口の街、フィゲレスへ向かう。

それでは。

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