2010 ツール・ド・ヨーロッパ(スポンサーを集めて自転車で西ヨーロッパ一周の旅) イタリア

【自転車旅】ツール・ド・ヨーロッパ(46)パドヴァ~ミラノ

投稿日:2010年9月19日 更新日:

そして苦渋の決断・・・

ツール・ド・ヨーロッパ
第46ステージ
パドヴァ~ミラノ

お昼に、EXPOBICI(自転車展示会)に行ってきた。

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~

本当に東京モーターショーくらいの規模だ。会場もよく似ている。こんなに種類があるのか、というくらいの自転車の数。どれも輝かしかった。

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~

広い会場をひたすら探し回って、ようやくBASSOの展示コーナーを見つけた。

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~

「Mr.BASSO(社長)はいますか?」

社員の人が奥の方に呼びに行ってくれた。

出てきた優しそうなおじさん。この方がAlcide Bassoさん。自転車メーカーBASSOの社長さんだ。ぼくが乗っている自転車の生みの親。この人がいなかったら、ぼくの乗っているこの自転車は存在していなかった。

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~

そしてもしかしたら、この自転車旅も実現していなかったのかもしれない。日本とイタリアの、遠く離れた切っても切れない縁。そう思うと、感慨深い。

「このラグーナは最高の自転車です。ありがとうございます。」

と御礼を言うと、Mr.バッソはとても喜んでくれた。

「この子は日本からわざわざバッソの自転車に乗って訪ねてきてくれたんだ」、と同僚に言っていた。

旗にサインを書いてもらった。

そして展示してあった、ぼくとまったく同じ自転車と一緒に記念撮影。

別れようとしたら、ちょっと待っててと言われて、奥から何か持ってきた。

「これをプレゼントしよう。」

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~

バッソのオリジナルシャツだ。嬉しい!

やっぱり、パドヴァに来て良かった。ありがとうMr.バッソ。

BASSO製の自転車の日本輸入元は、株式会社ジョブインターナショナル さんです。ぜひBASSOの素晴らしいラインナップをご覧ください。

しかし、今日の朝はとても残念な決断をした。

本来、今日の夜にアオスタというイタリア最北の街に入る予定だった。そこから北に走り、グラン・サンベルナール峠というスイス国境の峠を超えるつもりでいた。ここがこの旅の最大の見せ場であり、ぼくも全力で登ってやろうと意気込んでいた。このコースは、去年のツールドフランスの第16ステージで登場した場所。標高2400m、前回ツールの最難関コースだった。本当のツールドフランスに挑戦できる夢の舞台だった。

夢!冒険!ちゃいにっき!~自転車で西ヨーロッパ一周の旅~
(↑予定していたルート)

しかし、時期が悪いようなので低地のパドヴァでさえ、今日は15℃くらいしかない。これはヤバイかも、と思って調べてみると、

標高600mのアオスタの気温は最高10℃。そして、そこから2000m登った峠は、なんと-2℃。氷点下に突入する。まさかここまで冷えるとは思っていなかった。ヨーロッパの天候も、今年は例年と違うらしい。晴れてこの気温だから、もし天気が悪化したら、それこそ命に関わる。

しかし、諦めるのか・・・。5月から夢見ていただけに、本当に悔しい。泣きたくなった。でもやっぱり命には変えられない。生きていれば、またチャンスはやって来るハズだ。必ずまた挑戦しに戻ってこよう。悔しいが今は自分の取った選択を信じるしかない。

ということで、また急遽予定を変更した。アオスタではなく、途中のミラノへ向かう。この辺の決断するスピードは、この旅を通じて随分とついた気がする。旅は一瞬一瞬が選択の連続だからだと思う。

19時。ミラノに着くと、外は土砂降り状態だった。安いホテルを取ったので、ホテルまで5kmも離れている。この土砂降りの中を走るのか・・・

それは地獄だった。雨粒で目が見えない。そして痛いくらいの雨。アムステルダムからロッテルダムへ走るときも大雨の中を走り、もうこれ以上の辛さは無いだろうと思っていたが、更にヒドい雨だった。

ミラノの街は軽い洪水状態に陥っていて、道路は全て深い水溜りと化した。そのため、道路脇を走るぼくは、車の弾く水をシャワーのようにバシャバシャと浴びる。お腹の高さまで大量の水が飛んでくるから、表面どころかパンツまでビッショリだ。

おまけにホテルの場所がわかりにくく、近くまで来たのに全然見当たらない。15分も雨に濡れながら右往左往していた。通りすがりのおじさんに、「このホテルの場所わかりますか?」って聞いても、知らないと言う。

その場でホテルに電話した。しかし、ホテルの場所を今英語で説明されてもわからないので、そこにいたおじさんに電話に出てもらった。おじさんがイタリア語で聞き出し、なんとか場所がわかったらしい。

「案内するよ」、と連れて行ってくれた。親切なおじさんに感謝。
ホテルですぐにシャワーを浴びたが、それでも寒い。持っていた唯一の長ズボンもビショビショになってしまった。風邪を引いてしまう。

体を温めようと思ってレストランに入ったものの、野外席しか空いてなくて、寒さでブルブル震えながら食べた。

この雨なら、山どころか平地だって走れない。なんだかアルプスは少し諦めがついた。自然には逆らえない。

雨のロッテルダムを走った時も、フィレンツェまで山道を走ったときも、「これ以上辛いことはもう無いだろう」と思ったが、日を追うごとに更に辛い状況が待っている。雨、山、闇、空腹、事故・・・、辛さの種類って色々あるんだなぁ。日本に帰ったら強くなってる気がする。多少の不自由には負けない。

今日でイタリアは最後。明日は晴れますように・・・

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