2010年の西ヨーロッパ一周自転車旅の際に協賛してくださった源奈々さんが、今回の旅でもカンパしてくださった。先ほど感謝を伝えたら、こんな返信をいただいた。
「もう一度こんな日が来るなんてね。それがどんなことであろうと、自分に正直に「諦めない」という選択を続ける姿に私たちは動かされるのだと思います。そうか、選択をするだけだ。。と改めて思わされますよ。気をつけていってらっしゃい」
目次
選択をするのに、お金も能力も要らない
ぼくが「冒険をしたい」と思うようになったのは、大学時代に冒険家・植村直己さんの『青春を山に賭けて』という本を読んだことがきっかけだった。
ご存じのように、植村さんは世界初の五大陸最高峰登頂を成し遂げた人物だ。大学卒業後、資金も語学力もないなかで、ヨーロッパ・アルプスに行く決心をした。そのとき、彼はこう言った。
「とにかく日本を出ることだ。英語ができない、フランス語ができないなどと言っていたら、一生外国など行けないのだ。男は、一度は体をはって冒険をやるべきだ」
ぼくはこの言葉に、多大な影響を受けた。どんな影響か?
それは、「準備が整ってからやると決める」のではなく、「まず、やると決める。それから準備をする」という発想を教わったことである。
エネルギーの使い道
何かに挑戦したり、実現困難なことに挑もうと思ったときに、世の中には二通りの人間がいる。
ひとりは、できない理由探しにエネルギーを使う人。
「今はお金がないから無理。お金が貯まってからやるよ」
「忙しく今はとても無理。時間ができたらやるよ」
「海外には行きたいけど、まず英語をちゃんと話せるようになってからだね」
この思考だと、いつまで経っても先に進まない可能性が高い。
もうひとりは、「なんとかならないだろうか」と、実現に向けてエネルギーを使う人。
「よし、行きます。ひとつ予定あったんですが、ちょっとズラしてもらいます」
「旅費はまだないけど、台湾へのチケット買ってしまった。もう後には引けないから、ここからお金を稼ぐしかない」
台湾の話は、まさに2日前の自分に起こったことだ。(【お知らせ】次のチャレンジが決定! 自転車で台湾一周の旅「ツール・ド・台湾」)
行くと決めたら行く。何が何でも行きたい。絶対に諦めたくない。そのためには、どうしたらいいのか。そこに最大のエネルギーを注ぐ。
もう一度言うが、それはお金や能力や時間の有無の問題ではない。単に「選択」をするだけである。
やる? やらない?
諦める? 諦めない?
と自分に問いかけて、シンプルにそれに答えるだけだ。
言い訳という「壁」
それでも人はやっぱり挑戦が怖いから、何かと「できない理由」を作りたがる。人を納得させるために、極めて論理的で強固な理由を作る。
「ほら、こうこうこうだから、できるわけがないでしょ?」と。
だけど、その言い訳は誰のために存在するのか? 誰が得するのか? 言った本人は本当に得をしているだろうか?
言い訳は「壁」になって、一時的には自分の身を守ってくれる。でも、できない理由探しをすればするほど、壁は強固になっていき、どんどん身動きが取れなくなる。今度はなかなかそこから抜け出せなくなり、「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」に囲まれた人生を送ることになってしまう。
その生き方も「選択」の問題だから、本人が選べばいい。ぼくはただ、「やりたいことをやる」ための選択肢も存在することを伝えたい。
「できるわけがない」という言い訳が、「きっとできない」という意識を植え付け、さらに「できない」現実を引き寄せる。
自分の可能性を狭めるのは、ほとんどの場合、自分以外には存在しない。
やってみたら、意外と簡単にできてしまうかもしれない。
そしてもしかしたら、身近にいる人がやっていたら、「自分にもできるかもしれない」と思うかもしれない。
だから、
「あれ? なんだ、この壁は壊せるのか」
ということを伝えるために、ぼく自身がその壁をぶち壊していきたい。
自分のエネルギーは、壁を作るためではなく、壁を壊すために存在するのだ。