いよいよ最終日を迎えました。海沿いの道ではなく、峠を二つ越えるルートを選択して、台北へ向かうことにしました。
ツール・ド・台湾
第14ステージ(最終ステージ)
礁渓〜台北 77km
全体を振り返ってみると、最終日が一番キツい走行になりました。ひたすら登りが続いて、お尻の筋肉が今にもつりそうでした。こんな「いろは坂」がどこまでも続きました。
ただ、それはまだマシで、最も辛かったのは雨です。
日本でも滅多にないレベルの強い雨で、滑らないよう、慎重に山道を登っていきました。
2時間半ほど休みなく走り、途中ひとつ大きな峠を超えて、ようやく小さな町に着きました。
標高の高い坪林という町で、お茶の産地として有名なようでした。
「東木河茶荘」というレストランへ行きました。パタゴニアの防水ウェアを着ていたものの、すでに全身ずぶ濡れ状態で、体温が奪われていました。
寒さに震えていると、店員のお兄さんが、「これ使いな」とドライヤーを持ってきてくれました。
髪を乾かし、冷え切った身体にひたすら温風を当てていました。
非常に助かりましたが、それだけではありませんでした。
出発間際には、リュックごと覆い被さるレインコートを渡してくれました。
「峠まで、あと18kmだよ。頑張って!」
最後の最後まで、台湾人の優しさにふれる旅になりました。
18kmの山道を登っていきます。雨はさらに強まってきましたが、もうどうでもよくなってきました。とにかく無事に台北まで辿り着くことです。
峠を越えました。しかし怖いのは下り坂の方です。雨で滑りやすくなっているので、油断できません。おまけに漕がなくても進む分、足がどんどん冷えていきます。
何はともあれ、無事に山を下り切り、台北市内に入った瞬間は心底ホッとしました。
ラスト15kmを走って、自転車を借りた「96自転車大稲埕店」に戻ってきました。外に出ていた黄さんが、「おかえり〜」と祝福くれました。
これで「ツール・ド・台湾」ゴールです!全部で900km弱走りました。
そして、なんと黄さんからソックスのプレゼントが。
「騎車」は「自転車に乗る」という意味だそうです。謝謝〜!
この後、荷物を預けている場所まで、黄さんがバイクで送ってくれました。最後までありがとうございました。
そして宿でシャワーを浴びて、夜は台湾ナンバーワン占い師の龍羽ワタナベさんが焼肉で祝福してくださいました。
デザートには豆花も。いろんなお話を聞かせていただき、楽しい時間になりました。
台湾一周のことを、台湾の人々は「環島」と呼びます。
ある方が、「環島は感動の旅だ」と言っていましたが、本当にそうだと思いました。
ぼくはヨーロッパ各地を自転車で旅しました。フランスのブドウ畑やスイスのレマン湖のような、心を揺さぶられるほどの景色は、台湾にはなかったかもしれません。
しかし、台湾の絶景は、人でした。これまで訪れたどこの国よりも、人々が親切でした。
毎日、多くの人から温かい気持ちを受け取り、日に日に台湾が好きになっていきました。
台湾初日、「困ったことがあればLINEしてね!」と言ってくれた、電車で隣に座っていたおばちゃん
「台湾の魅力を発信したいんです」と言ったらレンタル料を75%オフにしてくれた自転車屋の黄さん
「台南へ行くなら、ここ泊まりなさいよ!」と、勝手に宿を予約してくれていた嘉義のカフェの店員さん
日本語を学ぶ高雄の高校生たちから歓迎を受けたり、
「頑張ってね」とニラ饅頭をプレゼントしてくれたり、
「息子が帰ってきたようだ」と涙を浮かべるおじいさんがいたり、
お節介で、親切な人が多過ぎる!
環島のことについては、後日改めてまとめ記事を書こうと思います。
ひとまず、翌日寝たきりになってしまったほど疲れているので、台北でゆっくり休みます。
応援してくださった皆さま、最後までありがとうございました!
また台湾に戻ってきます。
我的單車環島之旅結束了!一路上感受到台灣人滿滿的熱情,這趟旅程太棒了。真的很感謝大家的支持與鼓勵!