ロシア

一期一会のW杯。出会いは一瞬、友情はいつまでも

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コロンビア戦のあと、サランスクのスーパーマーケットからビールが消えていました。祝杯を上げたい日本人、敗戦を忘れて楽しみたいコロンビア人、両者にとって必要なものでした。

そして深夜、サランスク駅の構内は、小さなスペースを見つけて雑魚寝をするコロンビアサポーターでいっぱいに。選手たち同様、サポーターもまた全てのエネルギーを出し切りました。

臨時列車を含め、10〜20分間隔で続々と出発していくモスクワ行きの夜行列車。電光掲示板にホームの番線が表示されるたび、眠い目をこすりながら、サポーターたちが乗り込んでいきます。

ぼくが乗ったのは、深夜3時20分発の電車。「ロシアだな」と感じたのは、この時間でもう空が明るいこと。

向かいの席には、やはりコロンビア人の男性。最初こそ気まずさを感じましたが、google翻訳を介してスペイン語と英語でやりとりするうち、すっかり打ち解けました。

3試合観戦で165万円のツアー

コロンビアの首都ボゴタからやってきたゴンサロさん(39)は、奥さんと3人の息子を置いて観戦ツアーにひとりで参加。15日間の日程で、予選3試合の観戦チケットを含む内容です。

気になるツアー代金を尋ねると、なんと15000ドル(約165万円)。確かに日本でもJTBが販売していたツアー(2試合観戦・添乗員付き)で130万円という商品があったので、わからなくもないですが、コロンビアでこの金額というのは驚きました。

とはいえゴンザロさん、聞けば正社員50人(契約社員も含めると600人)を抱える会社の社長さん。仕事で取材を受けているときの写真を見せてもらいました↓

航空券やホテル、観戦チケットを全て自己手配すれば、3試合観戦しても50万円前後で収められるので、このような高額なツアーで訪れるコロンビア人は少数のはずです。

ちなみにグループ予選のチケットの定価は、カテゴリー1で210ドル(約2.4万円)、カテゴリー2で165ドル(約1.9万円)、カテゴリー3で105ドル(約1.2万円)。予約に伴う煩わしさはあるものの、大多数のコロンビア人は個人手配で来ているでしょう。

ぐっすりと眠っていたゴンザロさんは、到着が近づくと起き出し、連絡先を交換してくれました。

「いつかコロンビアへ行ってみたいです」

「ボゴタに来たら、うちに泊まりなさい」

モスクワの宿へ向かう道でも、コロンビアサポーターの女性から話しかけられました。

「良い試合だったわね。次も勝ってね」と握手し、記念撮影。

「コロンビアも、次の試合こそきっと勝てるよ」

「ええ、きっと勝つわ」

自分の中では「南米の一国」に過ぎなかったコロンビアですが、今ははっきりと輪郭を持ちました。「黄色い人々」の陽気な顔が思い浮かびます。

 

この原稿を書くために立ち寄ったカフェで、ドリップコーヒーを注文。

「この中からコーヒー豆を選んで」

もちろん、「コロンビアで」

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