決意は行動を変える。
電車の中で、ほとんどスマホを見なくなった。代わりに本を読んでいる。
今は『世に棲む日日』という作品。主人公は、吉田松陰。
松陰がこの時代に生きていて、同世代だったとしたら、きっと仲良くなれただろう。
彼は、旅が好きだった。無論、江戸時代だから、車も電車もない。
様々な土地を歩き、地理的な特徴やその地の文化、風俗などを見聞して回ることが好きだった。さらにその土地の識者を尋ねては教えを請う、ということを繰り返した。それが松陰の生き方だった。
旅から学び、出会った人から学んだ。そして流れるように、生きていった。
しかし、オランダ語をはじめ、語学の習得に悩んだ。彼の性格は、専門技術を習得したり、ひとつのことに熱中したりすることには、まったく向いていなかったらしい。
「松陰は専門者ではなく、総合者であるようだった」
とは、作者・司馬遼太郎の言葉である。
「そのするどい総合感覚からあらゆる知識を組織し、そこから法則、原理、もしくは思想、あるいは自分の行動基準を引き出そうとした」
松陰はきっと、H型の人間だったのだろう。
幕末、知識のハブとなっていたその松陰の原点に、諸藩を訪ね歩く「旅」があったことが、ぼくはうれしい。
彼が旅を好きだった理由と、ぼくが自転車旅を好きな理由は、同じだったに違いない。
何事も、自分の目で見てみたい。そして常識や既存の概念にとらわれず、自分が見たもの、感じたものから、行動をスタートさせていきたい。
きっと彼も、そうしていたはずである。
挑戦は続く。