インタビュー

「麻婆豆腐の季節がくるたびに、中村くんのことを思い出すのよ」早稲田大学 理工キャンパス 学食の安川さん

投稿日:2015年11月17日 更新日:

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学生時代の、忘れられないエピソードがあります。

それは大学4年生のときのこと。いつものように学食で麻婆豆腐を注文すると、おばちゃんが麻婆豆腐とともに、ポチ袋を手渡してくれました。

「なんですか?」

「あなた、中村くんでしょ?」

「え、どうして?」

「『早稲田ウィークリー』で見たわよ。私も協賛するわ!」

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実はその少し前に発行された学内誌『早稲田ウィークリー』に、ぼくの記事が掲載されたのです。「自転車で西ヨーロッパを一周したい。その挑戦を実現するために、旅の資金を協賛で集めています」という内容でした。5年前はまだクラウドファンディングという考え方が一般的ではなく、ぼくはいろんな手段を使って協賛を集めていました。

そのひとつが、『早稲田ウィークリー』でした。編集部に飛び込み営業し、「どうか自分の記事を載せてください。よろしくお願いいたします」と頭を下げました。そしたら編集部の方が、「いつまでに2000字で原稿を書いてください」と言ってくれました。

掲載されたその記事のおかげで、ぼくは少しだけ学内で存在を知られるようになりました。キャンパスを歩いているときに、「もしかして中村さんですか? 早稲田ウィークリー読みました。頑張ってください!」と声をかけられたこともありました。

学食のおばちゃん(安川さん)も、そのひとりでした。

手渡されたポチ袋を開くと、中には10ユーロ札が入っていました。これには驚きました。ぼくは「個人協賛は一口1000円です」と書いていたのですが、安川さんはわざわざぼくがヨーロッパで使いやすいように、両替したうえで渡してくださったのです。その細かな心遣いに感動しました。

「あなたいつも麻婆豆腐ばかり頼むわよね。しっかり食べて、頑張ってね!」

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今日、ふと思い立って、護国寺から歩いて早稲田大学を訪ねました。懐かしかったので理工キャンパスに立ち寄ったとき、安川さんのことを思い出し、学食へご挨拶に行きました。

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あれから5年も経ったから、もう辞めているかもな、と思いましたが、ちゃんと健在でした。安川さん以外のメンバーも当時とほとんど変わっていなくて、懐かしの面々も覚えててくださいました。

「ま〜、ご立派になられて。安川さーん? 中村くん来たわよー!」

という声に、奥の方から跳ねるように出てきた安川さん。

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「もう5年も経つかしら。元気だった? 来てくれてありがとね〜。麻婆豆腐の季節がくるたびに、中村くんのことを思い出すのよ」

連絡先も交換でき、このブログのことも伝えられ、嬉しい再会となりました。

「新宿の紀伊国屋の前を通るときも、いつもね〜」

「紀伊国屋? 紀伊国屋がなんですか?」

「もしかしたらあなたの本が出てるんじゃないかって、いつも新刊コーナーをチェックしているのよ。まだ出してない?」

「え・・・・・。絶対出しますから、もうちょっと待っててください!」

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-インタビュー

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