外国の病院は右も左もわからず・・・
ツール・ド・ヨーロッパ
第45ステージ
パドヴァ
粉瘤治療のため、病院へ行くことに。
保険会社に連絡を取ると、パドヴァには提携している病院がないとのこと。今回は自分で探すしかない。
こっちの病院は、予約していくのが当たり前らしく、1週間待ちとかは普通のことらしい。だけど、今のぼくにはそんなの無理だ。いくつか病院がある中、サント・アントニオ病院というところだけが、緊急外来を受け付けていた。
行ってみた。が、どうすればいいか何もわからない。受付みたいなところで、「診察を受けたいです」と言うと、緊急外来の受付へ連れて行ってくれた。そこでパスポートを見せると、カルテのようなものを作ってくれた。
「そこの待合室で名前を呼ばれるまで待ってて」
「はい」
1時間経過・・・
何もない待合室。暇すぎる・・・
1時間半経過・・・
まだかなぁ・・・
2時間経過・・・
忘れられてるんじゃないだろうか・・・。忙しそうなので、聞くこともできず・・・。もう帰りたい・・・
2時間20分経過・・・
「ナカムーラ」
呼ばれた笑
診察室へ入った。女の医者だ。
「アイ ハブ ア アテローマ(粉瘤)」 と言って、首を見せた。腫れはかなり膨らんでいる。
腫れをギュッと押された。痛っ!
「痛い?」
「痛いです」
それで診察は終わった・・・。
何やら処方箋などを書いた紙を渡された。診察料はどこで支払うのだろうか。
「この後、どこへ行けばいいですか?」
「薬局で薬をもらいなさい」
(あれ、診察料は払わなくていいんだろうか。)
このとき、ぼくがあまり気にしなかったのは、保険会社の人に「場合によって、診察代がかかるときとかからないときがある」と言われていたからだ。診察代がかからないなんて、まさかそんなことがあるのだろうか、と半信半疑だったが、現に何も言われていない。
(タダなのか、ラッキー!)と思って病院を後にした。
この時間帯、薬局はお昼休みだったので、先に観光をした。
サンタントーニオ・ダ・パドヴァ教会
すごい大きさ。中は写真が取れなかった。
そして、世界遺産に登録されている植物園『オルト・ボタニコ』
こんなに人気のない世界遺産は初めてだった。ぼくが入った時、誰も人がいなかった。
大学に付属されている植物園としては、世界最古のものらしい。
珍しい植物がいくつかあった。
これマリオの土管から出てきてファイヤーボールを吐くやつに似てるよなぁ・・・
一番驚いたのは、この穴のあいた木。人がすっぽり埋まってしまうほどの穴だ。
そして薬局へ行った。
さっき病院でもらった2枚の紙を出した。
「こっちが処方箋の紙ね」と、薬局のおばさんは片方の紙を受け取って、薬を探しに奥へ行った。
はて、それではもう一枚の紙はなんだろうか。さっきちゃんと見ていなかった。
イタリア語で意味はよくわからなかったが、真中にハッキリとTOTAL 25EUROと書いてある。
は・・・!!!! やってしまった!!( ゚ ▽ ゚ 😉
やっぱり診察料払わなきゃいけなかったんだ・・・!やばい!これじゃ犯罪だ・・・!
心臓の鼓動が速まってきた・・・
(待てよ・・・、このまま知らないふりして逃げることも・・・) と一瞬悪い考えが頭をよぎったが
ダメだ。パスポートをハッキリと写されてしまった。もしパスポートを手掛かりに日本大使館とかに連絡されたらどうしよう。
「早大生 診察費払わず捕まる(イタリア)」
みたいな見出しで新聞に載ってしまうかも・・・
中村容疑者の友人のAさん 「病院も協賛してくれるだろうと、勘違いしたんじゃないですかねぇ」
そんなアホじゃないし!!笑
いやだよーそんなの!・°・(ノД`)・°・
薬を受け取った後、必死に病院へ戻った。受付の人に「これ、お金払うんですよね!?どこで払うんですか!?」と焦って言うと、「あそこよ」と案内してくれた。
窓口に25ユーロ払って、領収書をもらった。
良かったぁ・・・・これで一安心だ・・・
もう病院はいやだ・・・
ちなみにもらった薬は多分抗生物質で、一日2回の6日分。値段は2ユーロと安かった。
ようやく落ち着きを取り戻して、パドヴァで一番の観光名所、スクロヴェーニ礼拝堂へ向かった。
ここにジョットのフレスコ画の大傑作があるのだ。
小さな礼拝堂だが、全ての面がジョットの絵。天井には青い星空が描かれている。すごい空間だ。
混んでいる時は予約しないと入れないので、事前に調べてみてください。
礼拝堂を出ると大雨が降っていて、急いで宿に戻った。
今日は病院の苦い思い出しかない・・・
これも経験か・・・