先日の旅行で最も忘れられないセリフだったので、この話をしなくてはと思い、スウェーデンでの話に遡ります。消費税についてエンニのご主人と話していたときのことです。
スウェーデンの消費税は25%です。ただし軽減税率も導入されており、食料品や宿泊費は12%、公共交通、書籍・新聞、コンサートやスポーツのチケットなどは6%となっています。
それでも、ほとんどが日本に比べて高い税率です。
「日本の消費税は8%だけど、5%から引き上げられる時は国民の不満も多く出たし、増税には常にネガティブなイメージがつきまとう。スウェーデンでは、消費税率に対して文句を言う人は少ないの?」
「ほとんどいないね。We trust the government.だから」
政府を信頼している、とハッキリ言い切ったことがぼくには衝撃的でした。同じことを日本人が言えるでしょうか。
多くのスウェーデン人は、税負担と引き換えに受けられる充実した福祉サービスに満足している様子です。少なくとも「納得」はしています。
たとえば、教育費は大学まで含めてすべて無料。医療は18歳以下は無料、成人の自己負担も診察料で最大約1万3000円(年間)、薬代で最大約2万5900円(年間)と安く抑えられています。
子育て支援制度も手厚く、育児休暇は最長16カ月あり、そのうちの13カ月は最高で給料の8割が給付されるとのこと。
介護の財源もすべて税金でまかなわれていて、老人になれば誰でも少ない自己負担で介護サービスを受けられます。月額の上限は約2万5600円。
さらに、消費税をはじめとする税金がどのように使われているか、税制の透明性を徹底していて、それが国民の納得を生んでいるようです。
この話を聞いたときに、日本で税金に対する不満が絶えない大きな理由は、税金の使い道が「不透明」で、国民が恩恵を感じづらいからだろうな、と思いました。
「本当にその問題に使われているのか」「税金が無駄遣いされているのでは」という疑念は少なからずありますし、政治家のスキャンダルや不祥事などがさらにそれらの疑念を後押ししてしまっています。
幸福度が高いことでも知られるスウェーデンですが、「国民が政府を信頼しているか」「政策に納得しているか」という点は、幸福度と決して無関係ではないでしょう。他国の政策の話を聞いて学んだのは、むしろ日本のことだったように感じます。