「近い将来、人間の仕事の多くがAIによって代替されるだろう」と最近よく耳にします。テクノロジーがもたらす仕事の変革と反発は、至るところで見られます。
配車サービスUberの登場により、アメリカのタクシー業界は追い詰められています。Uberの企業資産が7兆円を超える一方で、サンフランシスコ市内最大手のタクシー会社は破産申請をしました。
宅配サービスの会社でも、民間のドライバーを配達員にすることで、少ない社員数で大きな利益を出しています。しかし、自動運転が実現すれば、人間の配達員も必要なくなるかもしれません。自動化により、既存の仕事はどんどんなくなっていきます。
仕事を失ったら、収入源はどうなるのか。
このような背景から、無条件で収入を受け取れる「ベーシックインカム」制度に注目が集まっており、フィンランドでは実験も行われています。「働かなくてもお金をもらえる」時代が10年、20年のうちにやってくるかもしれません。
スイスのエノ・シュミットさんは、4年前からベーシックインカムの導入を求める署名活動を行っています。12万人を超える署名を集め、国民投票にこぎつけました。
シュミットさんは成人には約30万円、未成年には約7万円を支給するよう求めていて、財源約25兆円の4分の3を税金、4分の1を社会保障費の見直しで捻出できるとしています。
「無条件でお金を渡したら、みんな働かなくなる」と主張する人もいますし、機能しないだろうという声もあります。とはいえ、現実の問題として人の仕事はどんどん代替されていきます。真剣に考えなくてはいけない時代に来ています。
個人的には、「暇によって悩んだり精神的に病む人がこれからの時代は増えるだろうな」と予想しています。新たに時間が生まれても、何をしていいのかわからない、と言う人は少なくないでしょう。
普段から、自分が何が好きなのか、よく考えながら生きていないと、「時間ができても不幸になる」という悲しい現実が待っているかもしれません。
マチュピチュへ行きたいとか、村上春樹の小説を全部読みたいとか、英語の勉強をしたいとか、「時間ができたらこれをやりたい」というリストを書き出してみるのも良いと思います。