忘れられないエピソード

「後悔のない人生を」なんて言うけれど

投稿日:2017年3月10日 更新日:

以前、友人がこんな話をしてくれた。

彼が静岡から横須賀までひとりで運転していたときのこと。途中立ち寄った足柄サービスエリアを出る際、ヒッチハイクしていた2人組を見つけた。

そのとき彼は、「乗せようかどうか、究極に迷ったけど、決断が遅れ、後続車が来ていたこともあって、そのまま通り過ぎてしまった」とのこと。

でも通り過ぎた直後、「ひとりで暇だったし、おもしろい出会いがあったかもしれないし、乗せておけば良かったと猛烈に後悔した」のだそう。この何でもない些細な話に、ぼくはとても共感した。

「こんなとき洋太だったら、乗せていたんだろうな。せめてお前が助手席にいたら、瞬時に『乗せよう』と言ったんだろうな」

確かに、ぼくならそうしていたかもしれない。だけれども。

今ぼくがそう思えるのは、「やればよかった」「こうすればよかった」という同じような後悔を、これまでに何度も何度も繰り返してきたからだ。

その悔しい思いを積み重ねてきたからこそ、「次こそは…」と少しずつ行動力が磨かれていった。

大切なのは、自分の感情と素直に向き合うこと。そこで後悔できるのは、ちゃんと向き合ってる証拠だ。

「後悔のない人生を」なんて言うけれど、後悔を味わったことのない人なんて、多分いないでしょう。後悔のない人生がもしあるとすれば、それは後悔を積み重ね切った後に訪れるものでしょう。

だから後悔なんて、次に生かせばいいだけの話。長い目で見れば悪いものじゃない。

「次にヒッチハイクしている人を見つけたとき、今度は絶対に乗せられるよ」と彼に声をかけた。

-忘れられないエピソード

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【すべては一本の電話から始まった】ぼくがミャンマーへ行く理由(前編)

(後編はこちら) 3月16日から23日まで、ミャンマーへ行く。今回は、極めて特殊な旅。遊びではないが、自腹なので仕事とも少し違う。うまく言葉で表せないけど、不思議な使命感がある。 特別な体験をすること …

「お兄さん、俺プロになりたい」夢を抱いた少年に背中を見せた2年間

大学1、2年生の2年間、近所の小学校で毎週末サッカーを教えていました。といっても、コーチという立場ではありません。 ひとりで壁に向かってボールを蹴っていたある日、小学生の保護者のひとりから、「良かった …

【お知らせ】書家・小杉卓さんより作品を寄贈していただきました。

この嬉しさをなんと表現して良いのか。感動的なお言葉と、素晴らしい作品をいただいてしまったので、この場を借りてご紹介したい。 数年前にとある書道イベントに参加した際、講師を務めていた書家の小杉卓さんとい …

16歳の中国人が、イチローも通う寿司の名店でご馳走してくれた話

はあちゅうさんが、こんなことを言っていた。 人間関係は「多所属で無所属」を目指したい。いろんなコミュニティに所属している結果、どのグループの色にも染まらないという意味での「無所属」。群れないけど孤立は …

「最近の中村さんから『悔しい!羨ましい!』とは感じない」

今日の夕方、珍しい方からメッセージが届きました。 「お久しぶりです。 覚えていますか? 2009年の夏、長崎のユースホステルで同室になったバイク乗りです。 また自転車旅に出るということで、思い立ってこ …