以前、友人がこんな話をしてくれた。
彼が静岡から横須賀までひとりで運転していたときのこと。途中立ち寄った足柄サービスエリアを出る際、ヒッチハイクしていた2人組を見つけた。
そのとき彼は、「乗せようかどうか、究極に迷ったけど、決断が遅れ、後続車が来ていたこともあって、そのまま通り過ぎてしまった」とのこと。
でも通り過ぎた直後、「ひとりで暇だったし、おもしろい出会いがあったかもしれないし、乗せておけば良かったと猛烈に後悔した」のだそう。この何でもない些細な話に、ぼくはとても共感した。
「こんなとき洋太だったら、乗せていたんだろうな。せめてお前が助手席にいたら、瞬時に『乗せよう』と言ったんだろうな」
確かに、ぼくならそうしていたかもしれない。だけれども。
今ぼくがそう思えるのは、「やればよかった」「こうすればよかった」という同じような後悔を、これまでに何度も何度も繰り返してきたからだ。
その悔しい思いを積み重ねてきたからこそ、「次こそは…」と少しずつ行動力が磨かれていった。
大切なのは、自分の感情と素直に向き合うこと。そこで後悔できるのは、ちゃんと向き合ってる証拠だ。
「後悔のない人生を」なんて言うけれど、後悔を味わったことのない人なんて、多分いないでしょう。後悔のない人生がもしあるとすれば、それは後悔を積み重ね切った後に訪れるものでしょう。
だから後悔なんて、次に生かせばいいだけの話。長い目で見れば悪いものじゃない。
「次にヒッチハイクしている人を見つけたとき、今度は絶対に乗せられるよ」と彼に声をかけた。