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現金で切符を買うと損をする
ルンド駅近くのカフェでエンニと再会したとき、
「久しぶり〜!洋太くん、あと5分後に電車が来ちゃうんだけど、すぐ出られる?その後の電車は30分後なんだ」
と言われました。彼女の家は、ルンドから一駅離れたところにありました。
「切符を買わなきゃいけないけど、間に合うかな」
駅に向かって急いでいると、彼女はスマホをいじりながら「大丈夫」と言いました。
「洋太くんの切符、今アプリで買ったから」
「アプリで切符を買えるの?」
「うん。しかも現金で切符を買うより安いんだよ」
「へ〜」
バタバタと電車に乗り込みながら、さすがのキャッシュレス社会だと思いました。
スウェーデンにはSuicaやPASMOのような鉄道会社のカードがあり、それで切符を買うのが最も安く、次に安いのがアプリ、そして現金で買うのが最も高いのだそうです。
同じ区間なのに現金で買うと高い(=損をする)。だからみんなカードを使います。
スウェーデンの電子決済率は98%とテレビで観ました。現金利用者の多い日本で暮らしていると、これは驚異的な数字に感じます。
北欧の旅行者が両替する必要性は、ほぼゼロ
実は今回の5日間の北欧滞在中、ぼくはある挑戦をしています。
それは、ベルリンから飛行機でコペンハーゲン空港に到着したときから始まっているのですが、一切両替をしなかったのです。
デンマークとスウェーデンではユーロは使えません。それぞれデンマーククローネ(DKK)、スウェーデンクローナ(SEK)という通貨が使われています。
しかし、事前に北欧のキャッシュレス文化がすごいと聞いていたので、あえて一切現金を持たずにに5日間過ごせるか、実験してみることにしました。
まだ残り1日残っていますが、結果はほとんど出ていて、現金がなくても全く問題なしです。スーパー、カフェ、レストラン、ホテル、鉄道の切符、すべてクレジットカードが使えましたし、むしろ現金で支払っている人を一度も見かけませんでした。全員カードです。
逆に、カード支払いじゃないと受け付けない「現金お断り」のお店も増えているようです。
ただ、二回だけ現金じゃないとダメな場所を見つけました。ホテルにあったコインロッカーと、駅のトイレのチップです。これはコインが必要でしたが、でもそれそれくらいです。
カフェや電車内にはチップなしで使えるトイレがあるし、これだけのために両替する必要はないかな、と感じました。どうしても心配な方は1000円程度、本当に少額だけ両替しておけば十分でしょう。
お金に関するアプリが先進的
スウェーデンでは1990年代後半から、カード利用が一般的になってきたそうです。送金アプリを実際に使う場面を見せてもらいましたが、これが実にすごい。
相手の電話番号を入力して、金額を打ち込むと、それだけで手数料無料でお金が送れてしまうのです。だからレストランで代表者が一括で支払い、割り勘をする場合、みんな一瞬で代表者にお金を送れます。
日本では現金での割り勘がまだまだ当たり前なので、「ごめん、1万円札しかないからちょっとお金崩してくるわ」とか「コンビニでお金下ろしてくるわ」とか、そういう会話がありますが、スウェーデン人からしたら非効率に感じることでしょう。
また、家計簿アプリも先進的で、毎月食費にいくら使ったか、娯楽にいくら使ったかと、グラフで表されるのですが、その振り分けが全自動なのです。
たとえばレストランで食事して、カードで支払うと、そのデータを読み取ってアプリが自動的に「食費」に分類してくれるのです。トラッキングシステムがすごい。
全ての支払いをカードでやっていると、データ処理が非常に楽だし、いちいち帳簿をつけるような無駄がなくなるようです。
エンニのご主人は「もう半年くらい現金を使った記憶がない」と話していました。お金の管理は全てネット上なので、銀行に出向く場面もありません。
自分の行動を振り返ってみると、月に数回は銀行でお金を下ろしたり、どこかにお金を振り込んだりしているので、もう少しネットを活用して時間を節約しようと思いました。