ブログ

食について思い出す、3つのエピソード

投稿日:2016年3月23日 更新日:

目次

-01-

高校生のときだったか、大学生のときだったか、忘れてしまったけど、あるとき友人から、「(中学の同級生の)◯◯が亡くなった」という話を聞いた。確か、何かの病気だったと思う。ぼくは同じクラスでもなかったし、直接会話をしたこともなかったけど、まだ10代だったのは確かで、「え、こんなに早く?」とショックを受けた。

その人について覚えていることで、いちばん忘れられないことは、ある日の昼食が、マクドナルドのハンバーガーとポテトだった、という話だった。

同じクラスではないから、直接見たわけではない。友達に聞いた。みんながお弁当を食べている中で、ひとりだけハンバーガーを食べている映像を浮かべて、ぼくは絶句した。

「信じられない」

栄養について何も考えていなかった中学時代のぼくでも、直感的に「ありえない」と思った。そして、どうもそういう昼食が、日常化しているようだった。だから病気になっちゃったのかな、と訃報を聞いたときに思った。

ぼくはといえば、他の生徒と同じように、母が用意してくれるお弁当を、毎日淡々と食べていた。高校時代、浪人時代、大学生の途中まで、毎日作ってくれた。ぼくは少し痩せてはいるが、大きな病気にはなったことがなく、丈夫に育った。食習慣が身体を作ってくれたと思う。

10代の頃は、目の前のことに必死で、健康について真剣に考えたことはほとんどなかった。でも、疎かにしていると、あとで大きなダメージを食らうことになる。無意識に食べていたものが健康なものだった、という幸運を、今になって感じている。

-02-

カリフォルニアのアーバインという町に、2人の友達が留学していると聞いて、2年前に長期休暇で遊びに行った。

その友達のひとりは、田中麻喜子ちゃんといって、つい先日慶應義塾大学を卒業し、4月から食に関わる仕事に就く。料理が上手で、信じられないくらい優秀な子だ。

1483187_715667025140222_1104205347_n

ぼくが現地で会ったときは、まだこれから就活を控えているときで、「将来何をしたいの?」と聞いた。

「食に関わりたいです」

という言葉に、迷いのない意思を感じた。彼女は高校時代、イタリアに留学した。そのとき、イタリア人が食をとても大切にしていることを、肌で感じた。ひとつのテーブルを囲んで、食事と会話を楽しむ。ぼくがこう言うと陳腐な表現になってしまうが、そのときのまきちゃんの言葉は、もっと雄弁で、すごく生き生きとしていた。

対して、大学生になってアメリカに留学してきて、食生活が偏り、身体を悪くしてしまったのだという。今思えば、アメリカにはオーガニックスーパーもたくさんあるし、気をつけようと思えばいくらでもできると思うけど、まきちゃんは学生だったし、収入もないなかで、食事に気を遣うのはなかなか難しかったのだろう。

いずれにせよ、イタリアとアメリカで、食について深く考えるようになった。その話がすごくおもしろくて、疲れていたはずなのに、ぼくは夢中で聞いていた。

-03-

先日会った友人の女性は、もうじき結婚する。それまで料理はほとんどしなかったけど、同棲するようになってから、料理をするようになった。そして、結婚が決まってから、なおさら料理に励むようになったという。

「大切な人ができたから、身体によいものを食べてほしい」

という発言が、ぼくにはズシーンと響いた。こう言ったら失礼だけど、その子はあまり料理をするようなイメージではなかった。けど実際に、今は料理に励んでいる。大切な人ができると、こうも人は変わるのか、と近くで見ていて驚いている。

-04-

これまで様々な人から、話を聴いてきた。その話を、ふとしたときに思い出すことがある。断片的に聞いたそれぞれの話が、ひとつの線になって浮かび上がってくる。そして、それらの線が太くなり、徐々にぼくの行動を変える力を帯びてきた。

-ブログ

執筆者:

関連記事

【第1ステージ】無名の大学生が「スポンサーを集めて自転車で西ヨーロッパを一周する」という夢を実現した話

「日本は、本当に地図通りに存在しているのだろうか」 地図帳を眺めるのが好きだったぼくは、中学生の頃から漠然とこんな疑問を抱いていた。 「日本は、本当に地図通りに存在しているのだろうか。地図通りに、道は …

大人になるにつれて本質的なものに辿り着くのだと思っていました。けれど

花まる学習塾 代表の高濱正伸さんが、学生時代に日記を書いていたという話をしていました。 「もやもやした思いが心の中で充満してきたら、すべて日記に吐き出していました。そうすると、すっきりする。物事が整理 …

希少価値の高め方

大学生の頃から、「人としての希少価値」について考えるようになった。 どういう生き方をすれば、「その他一般」に埋もれず、オンリーワンの存在になれるか、ということを。 そうした考えが生まれた背景には、歳の …

人事を論ぜんと欲せばまず地理を見よ

山口県・萩へ行ってきた。 この町に住む人々は、誰もが吉田松陰のことを「松陰先生」と呼ぶ。 「ほかの県では松陰先生と呼ばないんですか?」 小さい頃からそう育ってきたから、それを当たり前のことだと思ってい …

人材育成事業「BEYOND Tomorrow」の活動

今年1月、チェリオコーポレーション専務取締役の菅さんにお誘いいただいたイベントで、一般財団法人 教育支援グローバル基金の理事を務める坪内南さんと知り合いました。 そのイベントで坪内さんから「うちで働き …