読んでみた

怠け心と闘って勝ち取る、自分らしさ、本当の美しさ

投稿日:2017年3月4日 更新日:

ある日の朝のこと。駅まで歩く途中、引越し屋さんがトラックの荷台の中で作業をしていて、手が滑ったらしく、箱がひとつ、横を歩いていたぼくの近くに落ちてきた。おじさんはそれを拾おうとトラックを降りようとしていたけど、「あ、拾いますよ」と言って手渡した。「ありがとうございます」と言われた。

渋谷に向かう電車の中、用賀から乗ってきたおじいさんに席を譲った。「ありがとうございます」と言われた。

渋谷から東急百貨店に向かって歩いている道で、突然強風が吹き、靴下専門店が店外に出していたソックスが、大量に吹っ飛んだ。行き交う人は、みんな見て見ぬふりでそのまま通行。ぼくもそうなりかけたけど、いや、と思い、すぐお店の中に入って、店員さんに「風で外のソックスが飛んじゃってますよ」と知らせて、一緒に拾った。「すみません、ありがとうございます」と言われた。

一連のことで、とても気分が良くなった。考えてみれば、普段過ごしている中で、家族や知り合いと過ごしているときやお店を利用するとき以外で、「ありがとうございます」と言われる機会って、どれくらいあるだろうか。多分、ほとんどない。

その日、ぼくに「ありがとうございます」と言ってくださった人たちは、全員知らない人だ。知らない人同士が、感謝の言葉を言い合う世界。これは素晴らしいことだと思う。とても良い気分になれるものだから。別に些細なことだけど、お礼を言われたら、「やってよかったな」と思える。その自己肯定感や自信が、次の善き行いにきっとつながる。

その後、東急百貨店の書店で、『面倒だから、しよう』という本を偶然見つけ、本の帯の言葉に感銘を受けた。

「しようか、どうしようか迷ってもいい。でも、そこで、自分の怠け心と闘った時に、初めて、本当の美しさ、自分らしさが生まれてくるのだと思う」

さらに、本の中に、マザー・テレサの言葉が紹介されていた。

「自分がしていることは、一滴の水のように小さなことかもしれないが、この一滴なしに大海は成り立たないのですよ」

「自分は、いわゆる偉大なことはできないが、小さなことのひとつひとつに、大きな愛をこめることはできます」

こういう些細なことに、愛を込めて生きよう。面倒だからこそ、しよう。

面倒だから、しよう

面倒だから、しよう

posted with amazlet at 17.03.03
渡辺 和子
幻冬舎
売り上げランキング: 1,386

-読んでみた

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

「不平等な交換」が与える、「前向きな負債感」とは? クルミドコーヒーの事例から学べること

不思議と様々な人に助けられたり、応援してもらえたり、絶好のタイミングで必要な情報を与えられたりと、不思議とラッキーなことがたくさん起こる。 みんながみんな、そうなのだろうか。いや、自分はとくに恵まれて …

「大切なのは、情熱を伝えることです」二十歳の世界的冒険家・南谷真鈴さんの生き方

現役早大生の登山家・南谷真鈴さんは、二十歳にして、世界的な冒険家の仲間入りをしている。 2015年1月3日(アコンカグア・南米最高峰登頂)から2016年7月4日(デナリ・北米最高峰登頂)というわずか1 …

【仕事を辞めるか続けるか】「危険な道を選べ」背中を押してくれた岡本太郎さんの言葉

転職しようか、どうしようか。独立しようか、どうしようか。 そう悩んでいる人は、無数にいるはずだ。ぼくもそのひとりだった。 仕事を辞めるべきか。続けるべきか。自分の人生、このままでいいのだろうか。 昨年 …

ガウディ「人間は何も創造しない。ただ、発見するだけである」

2014年に、六本木ヒルズで開催された「ガウディ×井上雄彦展 シンクロする創造の源泉」という展覧会に行った。 漫画家井上雄彦の目を通して、建築家ガウディの生涯を辿るという特別展。バルセロナには行ったこ …

『黄色いマンション 黒い猫』

エッセイの主要な賞について調べてみると、「講談社エッセイ賞」というのが有名らしい。ぼくの好きな長島有里枝さんの『背中の記憶』も、平成22年に受賞している。 そして今年、「講談社エッセイ賞」を受賞したと …