インタビュー

「日本人を通して、もっとルーマニアのことを勉強しようと思いました」ルーマニア日本語ガイド オワナ・パバロイユさん

投稿日:2015年10月31日 更新日:

f:id:yota1029:20151031053256j:plain

「はい、これ。お客さんからいただいたのど飴」

「ありがとうございます。あ〜、イリオモテジマのなんですね」

包装用紙を見て言った彼女のひと言に、驚いてしまいました。

「オワナさん、『西表島』っていう漢字が読めるの?」

「はい」

ルーマニア人、恐るべし。現地ガイドのオワナ・パバロイユさんは、まだ27歳ですが、非常に優秀な方です。

「オワナさんが、日本に興味を持ったきっかけは何だったんですか?」

「文学ですね。日本の小説はルーマニア語にも訳されていて、高校生の頃、よく読んでいました」

「たとえば、どんな作品を?」

ぼくは、村上春樹とかかなと思いました。

「たとえば、森鴎外、谷崎潤一郎、川端康成、夏目漱石などですね」

「え・・・。読んでて、面白いと思うの?」

「面白いですよ。小説に出てくる情景にすごく興味を持って、日本に行ってみたいと思いました」

「司馬遼太郎も知ってる?」

「はい、『燃えよ剣』とか、あと『坂の上の雲』も読みました」

「全巻? 相当あったでしょう」

「そうですね。でも読むのは、とてもゆっくりですよ」

ぼくだってゆっくりじゃないと読めないよ。

「日本語はどこで学んだんですか?」

「ブカレスト大学の日本語学科です。高校生の頃は理系だったんですけど、入試の3ヶ月前に、日本語学科に入りたいと思って、必死に勉強しました。試験で必要なフランス語は一から3ヶ月で勉強しなくちゃいけなくて、個人レッスンの先生にも『無理だ』と言われたけど、『責任は自分で取りますから』と言って、教えてもらいました。そしたら合格しました」

学生時代は一年間、奈良教育大学に留学。奈良の田舎の村が大好きだそうです。

「もう一度日本に住んでみたいと思いますか?」

「う〜ん、日本は大好きですが、今はあまり思わないです」

「どうして?」

「私は、社会主義時代のこと(悪い歴史)があったから、ルーマニアに対して、あまり誇りが持てなかったんです。それは私だけじゃなくて、同世代の多くが同じように感じていると思います。だからルーマニアでは、外国で就職するのが、成功と思われています。

でも、ルーマニアの本を多く書かれている日本人のみや こうせいさんとルーマニア北部を訪ねたとき、同じものを見ているのに、ルーマニア人と日本人では、受け取り方が全然異なることに気付きました。それでルーマニアのことに、以前より関心を持つようになりました。今はガイドの仕事を通して、ルーマニアのことをもっと勉強していきたいです」

-インタビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

「ご先祖は徳川家康の茶道指南役」遠州流茶道 小堀優子さん

江戸初期に総合芸術家として活躍した大名茶人・小堀遠州は、将軍徳川家の茶道指南役だった人物です。 少年時代の小堀遠州が千利休と出会ってから3年後、利休は秀吉の朝鮮出兵に反対して秀吉の怒りをかい、切腹しま …

母親ならではの発想! 塔筋真弓さんの「kai pearl」で、ママはもっと手軽にオシャレを楽しめる

おもしろいストーリーを聞かせていただいた。一児の母である塔筋真弓さんが「kai pearl」というアクセサリーブランドを始めた、きっかけの話だ。 真弓さんは、新卒で入社した都内の外資系企業で3年働いて …

「女性ひとりの世界一周」窪咲子さんの背中を押してくれた母の言葉

-01- 小さな決意 オーストラリアの短期留学プログラムがあることを知り、当時高校生だった窪咲子さんは、「行ってみたい」と強く思った。 しかし、費用は約40万円。額の大きさに、結局親には言い出せなかっ …

ユーザーの味覚を学習するグルメサイト「SARAH」代表取締役 高橋洋太さん

新進気鋭のグルメサイト「SARAH」のオフィスを訪れました。まだ今年生まれたばかりのサービスですが、このサービスのすごいのところは、ユーザーの味覚を学習し、自分好みのメニューを提案してくれる点にありま …

世界の郷土菓子を研究しながら自転車でユーラシア大陸を横断したパティシエ・林周作さん

郷土菓子研究社の林周作さん。 「地球の直径の4分の1のキョリ」と言われてピンとくる人間は少ないと思いますが、彼はそのキョリを自転車で走ってきました。偉業です。 フランスから上海まで、約1万1000km …