忘れられないエピソード

【サッカー】「シュートだけなら世界一になれないだろうか」軌道の美しさを追求した日々

投稿日:2015年12月12日 更新日:

「サッカーでプロになることはできないけれど、ひたすらシュート練習をすれば、シュートだけなら世界一になれるかもしれない」とバカげたことを思って、大学1,2年のとき、ノートをつけたりビデオに撮りながら、無回転シュートについて研究していた時期があった。本田圭佑がW杯で無回転FKを決める2年前の話だ。

運動エネルギーを無駄なくボールに伝達させるためにはどうすればいいのか、軌道は低いほうが速さが増す、軸足は置くのではなく先まで走り抜けるイメージ、ボールの芯を捕らえる、腸腰筋を使い、上体を被せる、etc… 自分なりに研究を重ねた。

学校から帰ったら、夕方、近所の小学校へダッシュ。土日も。誰にも知られていないが、この孤独感が好きだった。

それで、シュート練習しているときにこの小学校で出逢ったのが、風生だった。

「プロの方ですか?どうやったらそんな速く蹴れるんですか?」

彼にぼくなりの、シュートについて気付いた点を伝えた。真剣に話を聞いてくれた彼は、後に日大藤沢高校に進学し、サッカーで全国3位に輝いた。

すごくバカらしい映像だと思う。ただ、うまく言葉で表せないが、ひとつのことを本気で極めようとした青春の時間だった。2本目は微妙だけど、1本目のキックは軌道が美しい。蹴った場所にボールが戻ってきているのは、余計な回転がかかっていないからだ。

この映像のシュートはまだ発展途上中で、コツを掴んでからはもっと重くて速いブレ球を蹴れるようになった。

大学3年生のときに仲間と参加した波崎のサッカー大会。決勝戦で直接フリーキックを得て、「洋太、蹴っていいよ」と言ってくれた友人に感謝したい。人生最高の無回転シュートが決勝点になり、長い努力が報われた。相手キーパーは一歩も動けず、努力の証である美しい軌道を眺めながら、ぼくは心の底から満足した。

-忘れられないエピソード

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

はじめての方に読んでいただきたい人気記事TOP5

当ブログをご覧いただきありがとうございます。ライターの中村洋太です。 これまでブログやその他メディアでたくさんの記事を書いてきました。今回は、SNSで話題になったり、Yahoo!で取り上げられたものな …

「あなたの大義は何ですか?」

2年前のある日、訪日観光客向けWebマガジン「MATCHA」を創業した青木優くんと浅草の缶詰バーで話していました。 昨年は星野リゾートからの資金調達が決まるなど、彼とメディアの知名度はどんどん上がって …

【日本で最初に世界一周した高校生】ヤンゴンプレス編集長・栗原富雄さん

ミャンマー滞在初日、早速奇跡が起きた。 ヤンゴンプレス編集長 栗原富雄さん ヤンゴンのマーケットをブラブラと歩いていると、偶然、日本語で書かれた新聞が目に入った。 『ヤンゴンプレス』という、日系情報紙 …

【教育に携わりたい】ぼくがミャンマーへ行く理由(後編)

(前編のあらすじ) 近所のラーメン屋で働いていたウィンチョさん・マティダさんご夫妻は、かつてアウンサンスーチーさんとともに国の民主化に向けて闘っていたミャンマー人だった。亡命後もなお、祖国への想いは尽 …

あるフランス人との出会いと、意図的な奇跡

「Have a nice trip Mr.Thierry」 お昼に定食屋にいたら、ぼくの隣に外国人の4人家族が座ってきました。 「TOKYO」と書かれたガイドブックを持っていたので明らかに観光客。話し …

S