横山光輝の漫画『三国志』全30巻を読み終えました。長かった・・・!
漫画だからすぐ読めるかなと思ったのですが、意外なほどに時間がかかりました。別の本と並行して読んでいたからというのもありますが、やはり壮大な中国のひとつの時代を描いた作品であるだけに濃厚。毎日味わうように読んでいきました。
そもそも、なぜ今、三国志を読もうと思ったのか。
ひとつは、経営者たちのインタビュー記事などを読んでいると、共通点として歴史への理解の深い方が多いなと感じたからです。NewsPicksのコメントでも、大御所の方々が折に触れて歴史の知識や理解を持ち出してコメントする様子を見ていて、憧れを持ちました。きっと歴史を知ることで、人生の深みは増すのだろうなあと。
歴史を学ぶといっても、たくさんの題材がありますが、中でも『三国志』は基本中の基本と捉えられているように、勝手に感じていました。同世代を見ていても、ぼくが一目置いている人はやっぱり読んでいたりする。知らないところで置いてきぼりにされているような気がして、これは読まねばと思いました。
また、三国志を読もうと思ったもうひとつの理由として、すぐに何かの役に立つわけではないし、目の前の生活とも関係のない物語に、ゆっくりと浸りたかった、というのもあります。ライターとして日々消費されていく記事を作る側に立っていて、なんとなく疑問に思う瞬間も多かったのです。ちょっとひと休みして、「すぐには役に立たない物語」の価値を、もう少し考えたいと思いました。
現代は変化のスピードが速すぎて、今流行している物事の表面だけを追っていても、5年後にはほとんど消えているかもしれません。逆にすぐ役に立たないものでも、本質的であれば一生役立つはずです。
これまで多くの作家が三国志を描いてきました。調べてみたところ、まず横山光輝の漫画で全体像を掴み、その後、吉川英治の小説を読むのがいいだろうという結論に至りました。
しかし、漫画ですら想像以上に重厚だったので、今は「ようやく解放された〜」という実感。小説の『三国志』は、ちょっと時間を置いて読もうと思います。他にも読みたい本が溜まっているので、まずはそちらから。
三国志を読むなかで、中国への興味が増しました。昨年、初めて中国を訪れたというのも大きいでしょう。深センだけですが、それでも立派な中国。一度その土地の肌感覚を得ると、頭の中にスッと入ってきやすくなります。地図と照らし合わせることで、地理の理解も増しました。
三国志と並行して、『日本の「中国人」社会 』も読みました。
日本在住の中国人は今や高知県の人口とほぼ同じ約73万人。この本は、日本の中国人コミュニティを「中国の縮図」と捉え、現地取材や彼らへのインタビューを通して中国への理解を深めてくれる一冊でした。非常におもしろかったです。
また、東証一部上場企業の株式会社ラクーン創業者が書いた『華僑 大資産家の成功法則 お金がなくても夢をかなえられる8つの教え』という本も素晴らしかったです。
ひと昔前だったら、中国や中国人に対してネガティブな印象を持っていたかもしれません。しかし今は、ポジティブな意味での興味関心がほとんどです。ビジネス面の成長や進化の度合いに関してはただただ学ぶことしかないし、国民性も以前に比べて良くなっている印象です。
脱線しました。三国志という、西暦でいえば200年前後の物語は、どうしてこれだけ時間が経っても多くの人々を惹きつけるのだろう?というのがぼくの疑問でした。
読み進めるなかで、そのおもしろさや魅力がわかってきました。ただ戦が延々と繰り広げられるだけの話ではありませんでした。
なぜ争っていたのか、そして魏・呉・蜀はそれぞれどのような戦略で領土を広げていくのか。その知略を読んでいると、現代における外交が理解しやすくなると感じました。ぼくは国際情勢のニュースには疎いのですが、三国志を読むうち、徐々に抵抗感が消えていきました。フィールドと時代が変わっただけで、三国時代の中国と同じことが今の世の中でも起きているのだなと(もちろん現代の方が状況ははるかに複雑ですが)。
また、三国志に登場するキャラクターたちは多様で、しかし現代にも「いるよな〜」と思う人ばかり。
忠誠心のある人物と、謀反を起こす人物。それぞれが結果どういう運命を辿るのか、という視点で見ていると、人はどう生きるべきか、というテーマに行き着きます。
そして強く惹き込まれたのは、孔明の戦略の見事さ。将棋をやったら強いんだろうな〜笑
他にも数え切れないほどの魅力がありましたが、ひとまずここまで。