ブログ

梅の木に止まるウグイスは、影にしかいない

投稿日:2016年2月18日 更新日:

12528266_1100546853318902_273488715_o

本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に

という歌が詠まれたほど、本間家は大金持ちだった。

しかし、ただの大金持ちではない。酒田の人々に愛された。それは、CSRなんていう言葉が当然なかった江戸時代に、防風対策の植林事業など、それを実践していたからである。

3代目、本間光丘の精神は「徳は得なり」であり、利益の4分の3を公益に資するように投資をしていった。そして自らは、豪華絢爛な生活ではなく、簡素な生活をしていた。

現在、本間美術館として使われているかつての邸宅も、失業者の救済事業として建てられたものだった。

邸宅の中で驚いたのは、ウグイスの影だった。この写真で、気付くだろうか。

12755262_1100546846652236_1025288271_o

装飾として彫られた梅の木の影が、壁に映っていた。しかし、その梅の木の上に、彫られていないはずのウグイスが止まっている。

これは偶然できた影ではなく、製作者の遊び心だというのだ。梅の花が重なって、ウグイスに見えるように、作られている。粋とは、こういうことを言うのだろう。

12318312_1100546859985568_1460329735_o (1)

新庄駅から、山形新幹線で3時間半。夕方、東京駅に着いた。

遠くも感じるが、たった3時間半で非日常の雪国へ行けると思えば、近いかもしれない。

冬の国は、冬がいちばん美しい。東北の冬はとても良かった。

正直、観光はどうでもいい。言葉の訛り、生活感、珍しい機材や食材など、その土地を感じられるものにふれると、嬉しくなる。

今回でいえば、

みんなでパトカーの雪を落としていた警察官たち、融雪のための歩道のスプリンクラー、見たこともない除雪機械、地元のお祭り、色とりどりの漬け物、食文化、純朴な子どもたち、種類豊富なニット帽、人々の優しさ・・・。

12752108_1098632340177020_156972041_o

12754954_1098634816843439_1214431425_o

12736909_1099207293452858_496630811_o
12751657_1100556196651301_1627529030_o

ひとつひとつが、新鮮だった。

海外も国内も関係なく、旅は感性を刺戟する。

12755208_1100546873318900_2075763566_o

挑戦は続く。

-ブログ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ジョヤサ!ジョヤサ!

遠くに、何か見えた。 横手の「かまくら祭り」は有名だが、実はその翌日に同じ場所で、もうひとつの熱い祭りが開催されることは、あまり知られていない。 おお! 梵天コンクールである。 横手旭岡山神社へと奉納 …

多摩川の河津桜

2週間前、多摩川河川敷をサイクリングしていると、前方にたくさんの人が集まっていた。 (なんだろう?) 近づいていくと、その正体は、桜だった。見事に咲いている。 (まだ2月中旬なのに?) どうやら調べて …

成功すれば世界初。ブラインドセーリングによる太平洋横断に挑む岩本光弘さん

「全盲のセーラーが、ヨットで太平洋を横断する」 成功したら世界初となる偉業に挑む、岩本光弘さんと再会しました。アメリカから一時帰国中でした。 岩本さんは、2019年2月24日に米サンディエゴを出発し、 …

連載『ヨーロッパ自転車旅と協賛集めの経験から学んだこと』が始まります!

副編集長を務めているソフトバンクの「BizTERRACEマガジン」にて、ぼくの連載『ヨーロッパ自転車旅と協賛集めの経験から学んだこと』が始まります! 2010年、大学4年生だったぼくは「ツール・ド・ヨ …

登山家・栗城史多さんの死に思うこと(2)「気持ちの変化に向き合う」

一度「これが自分のやりたいことだ」「私の夢は◯◯です」と宣言して、人にも応援されたりすると、仮に途中でやりたいことが変わったとしても、切り替えづらくなります。たとえ気が変わっても、自分に嘘をついてしま …