※2020年6月更新
コリン性蕁麻疹に関する記事を新たに書きました。
ご無沙汰になりました。突然ですが、5月20日から一週間、東京医科歯科大学 医学部附属病院にて入院しています。
最初の3日間、検査をしていました。
まず入院初日。発汗の有無と発汗部位を調べるために、ヨウ素デンプン反応を利用した「ミノール法」という検査を受けました。これがなかなか貴重な体験でした。
まず、検査室で裸(パンツ一枚)になり、3人の看護師さんたちからイソジン(ヨウ素)を全身に塗りたくられます。ペンキで色を塗られるように。すごい光景でした。
一度ドライヤーで乾燥させ、また全身に、今度はテカテカとしたコーンスターチ(デンプン)を上塗りします。
その後、一人用のサウナに15分間入ります。小麦粉→溶き卵→パン粉→油に入れられる海老を思い出しました。
正常ならば、サウナに入ると汗が出ます。すると、汗によってイソジンとコーンスターチが混ざり合い、ヨウ素デンプン反応が起きます。反応によって汗が出た箇所が黒く染まるので、発汗部位を計測できるというわけです。
しかし、本来この反応により全身真っ黒になるところなのですが、ぼくは鼻や首のごく一部、腋などを除いて、ほとんど変色しませんでした。結果、身体の約95%に発汗が見られない、ということでした。もともとは、ものすごく汗っかきな人間だったのに、不思議です。
今から1ヶ月前、地元でスーパー銭湯に行き、たまたまサウナに入ったところ、まったく汗が出ない異変に気付きました。それどころか、身体が温まるにつれて蕁麻疹が出てきました。
この謎の現象をネットで調べまくり、「おそらくこの病気ではないか」というのを特定しました。それは患者数が少なく、珍しい病気のひとつでした。
そして最寄りの皮膚科の先生に、「東京医科歯科大学に◯◯先生というこの病気の権威の先生がいるようなので、紹介状を書いていただけませんか?」とお願いして、その先生の診断を受けることができ、入院が決まりました。ちゃんとした先生に診てもらえて良かったです。
珍しい病気だけに、この病気に気付くまでに何年も時間がかかる人もいるそうなので、ぼくは幸い気付くのが早い方でした。そして早いほど治りやすくなるとのことなので、少し希望を持てました。
入院2日目は、検査が3つ。
①交感神経皮膚反応(SSR)
ベッドに横たわり、両手の裏表と両足の表裏、計8カ所にセンサーを貼り付けました。その後、おでこに電気刺激を与え、両手両足の皮膚の電気的な変化を測定します。
検査目的は、汗腺活動に伴う皮膚の電気的な変化を記録することによって、汗腺活動を司る交感神経系、特に節後の無髄神経の機能を評価するとのこと。
少し難しい話だったけど、ぼくにとって重要なのは、電気刺激が痛いのか・痛くないのか。少しビリっときたものの、痛みというものではなかった。無事クリア。
②コリン性蕁麻疹の確認
裸になり、サウナへ。昨日は全身にイソジンとコーンスターチを塗ったけど、今日は何も塗りません。銭湯でサウナへ行くのと同じ。
「コリン性蕁麻疹が出てきたら外に出てください」
コリン性蕁麻疹は、通常の蕁麻疹よりも小さな膨疹が生じる、ピリピリとした痛みと痒みを伴う蕁麻疹。毛穴のある場所から出現するのが特徴。
※参考記事:克服経験から語る「コリン性蕁麻疹」の原因、症状、検査、治療方法、無汗症の難病との関連など
サウナに入って5分くらいで、コリン性蕁麻疹が出てきました。証明のための写真を撮るとのことなので、そこからさらに2分我慢。
全身に蕁麻疹が広がります。これが本当に辛い。ぼくが暑い日、外に出られないのは、この症状のせい。直射日光を浴びると一瞬で発症します。
「うわ〜、見事に全身に出てますね」
相当重度なようで、お医者さんもびっくり。全身と部位の写真を撮り、終了。この蕁麻疹は保冷剤や氷で冷やせば数分で治ります。なので外に出るときは必ず保冷剤入りのバッグを持ち歩いています。とりあえずクリア。
③皮膚生検
「皮膚生検って何ですか?」
「汗が出ていない箇所の皮膚の一部を切り取って、顕微鏡で詳しく調べる検査です」
「怖い・・・><」
「切り取るといっても少しだけですからそんなに心配ないですよ。局所麻酔もしますし」
一応、手術になるので目的などが書かれた同意書に署名し、手術室へ。
「切り取る部位はどこがいいですか?」
「ぼくが選ぶんですか?どこが一般的ですか?」
「お腹や太ももとかですかね」
「じゃあ太ももで。ひい。。。」
ぼくは手術にビビるタイプです。小さい頃ブラックジャックを読みまくった影響があるのか、自分の身体にメスが入ると想像するだけで全身の力が抜けてしまい、意識が遠のきそうになりました。。
局所麻酔は太ももの4カ所に。またこれが腕の注射と違って、鈍く痛かった。
ジワジワと麻酔が効いたところで、「では、切り取ります」
想像すると本当にダメなので、目をタオルで覆って、お医者さんたちの会話が聞こえないように耳を塞ぎ、ずっと深呼吸してました。大した手術じゃないのに恥ずかしいですが、なんとかそれで耐えました笑
3日目は横になったときと起立したときの、脈だか血圧だかを測る検査をしました。これは、病気の診断基準のひとつに、「明らかな原因なく後天性に非髄節性の広範な無汗/減汗(発汗低下)を呈するが、発汗以外の自律神経症候 および神経学的症候を認めない」というものがあるから。自律神経に関わる検査でした。
そして、4日目に検査結果が出ました。
自分が予想していたとおり、「特発性後天性全身性無汗症(通称:AIGA)」という病気で、厚生労働省が定める指定難病のひとつです。
※参考記事:汗をかくことができない病気-特発性後天性全身性無汗症とは?
患者数が日本に数百人しかおらず、非常にレアな病気です。傾向として10代〜30代の男性がなることが多い、また、もともとよく汗をかいていたり、激しいスポーツなどをしていた方が発症するケースが多いようです。ぼくもこれに当てはまります。
症状としては、汗が出ない or ほとんど出ない。ぼくの場合、検査により全身の約95%から汗が出ていないことがわかり、重症患者とのこと(75%以上で重症)。
人間は運動をしたり、体温が上がったりしたとき、自動調整機能が働いて、汗を出すことで、体温を下げます。
しかしぼくの場合、汗腺になんらかの問題があり、汗が出ません。そのため、身体に熱がこもってしまいます。だから暑い日に外に出ると、すぐに熱中症になりかねません。
また、体温が上がるとすぐにコリン性蕁麻疹というのが発症して、身体中に赤い膨疹が出てきます。これがピリピリとした痛痒さがあり、本当に辛い。叫びたくなるような辛さです。
人と会うと「元気そうじゃん」と言われたり、涼しい場所にいれば何も問題ないので、なかなかこの病気の辛さは伝わりづらいのですが、実際にはほとんどの時間、身体に氷を当てている状態です。今この瞬間も痒みと戦っています。
未確立だけど効果的な治療法として、「ステロイド・パルス療法」というのがあり、3日間、それをやっています。大量のステロイドホルモンを点滴で入れていきます。通常の30倍の量を投与すると聞いてゾッとしましたが、この病気ではこれが一番効く確率が高いとのことで、やるしかありません。胃炎や不眠や動悸などの副作用はあるようですが、命に関わるようなリスクは低いとのこと。
ただ実際、初日の点滴を終えて、不眠に悩まされています。深夜2時に起きてしまってから、朝まで全く寝付けませんでした。ひどい場合は24時間7日間起きっぱなし、という方もいるそうで、ちょっと恐ろしいです。今夜は寝られるといいな。
おそらく今後、定期的に検査と入院を繰り返し、治療を続けていくことになります。
暑い日が続き、外に出るのは本当に苦労しますが、気持ちは元気です!
火曜から金曜まで、4日間で12人もお見舞いに来てくださいました。本当にありがとうございます!
明日で一度退院ですが、入院中、たくさんの人が励ましの言葉をかけてくれて、たくさんの人がお見舞いに駆けつけてくれて、本当に人の優しさや支えを感じられた日々でした。自分を必要としてくれる人がいるんだなと知れました。点滴のための入院はこれからも繰り返しますが、治療に向けて頑張っていきたいです。
※2020年3月15日 更新
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