インタビュー

Hair Artist 京極琉さん

投稿日:2017年2月11日 更新日:

先日、ヘアーアーティストの京極琉さんにインタビューする機会に恵まれました。

上海出身の琉さんは、お母さんの仕事の関係で、12歳のときから東京で暮らしています。中学に入るも、日本語がまったくわからず、早々に「中国に帰りたい」と懇願したものの、祖国のおばあちゃんが「戻ってくるな」と認めなかったそうです。「中国でのし上がるのは大変。だけど、日本で頑張ればチャンスがある」と言って。

「アーティストになりたい」

と高校生の頃から思っていました。歌手に憧れたけど、プロになれるほどの才能はない。ダンスもやっていたけど、いつか身体は衰える。琉さんは、「生涯現役で活躍できるアーティスト」になりたかった。

選んだのが、「Hair Artist」という職業でした。

「ファッションデザイナーの人は、自分がデザインした服が、実際に着られている場面をなかなか見られない。だけどこの仕事は、お客様の笑顔を直接見られる。そこが好き」

成人式や結婚式をはじめ、人のライフイベントに関わり、 幸せを後押しできるこの仕事に、誇りと喜びを感じています。

高校卒業後、国際理容美容専門学校に入学。日中は銀座のサロンで研修、夜は専門学校の授業という生活を続け、実践的な技術を習得しました。サロン研修で痛感したのは、圧倒的な言葉の壁でした。将来美容師として独立するためにも、技術とともにコミュニケーション能力を磨かなくてはいけないと自覚し、日本語の勉強に初めて本格的に着手しました。

「日本のお笑い番組を観ながら、話していることをメモしたり、テロップを読んだり。それがすごく勉強になりました」

今では、まったく支障のないレベルで日本語を話せます。それどころか、持ち前の愛嬌により、コミュニケーション能力が武器になっているようにすら感じます。

「言葉の壁を乗り越えたときに、世界が全然違って見えました。すごく可能性が広がった」

専門学校を卒業後、銀座のサロンのほか、美容業界での広い経験を積むため、ヘアーカット専門店にも勤め技術を磨きました。 

2016年には国際的に通用する技術を学ぶために、美容のトレンドを発信するロンドンに渡り、Vidal Sassoon Academy, TONI & GUY Academy , SANRIZZ Academy を卒業。2016春夏London Fashion Week、2016-17秋冬London Fashion Week Men’s にてHair担当を務めるなど、ロンドンの第一線で活躍。

また、ロンドン滞在中の作品は『Vogue Italia』をはじめ、 『Atlas Magazine』『Factice Magazine』『Flanelle Magazine』 『Hunger TV』『Lone Wolf』など多数ファッション雑誌に掲載されました。

今年1月、帰国してすぐに挑んだ、和楽が主催する「CUT & STYLING CONTEST」のカットモデル部門で2年連続の優勝を果たします。それだけでなく、この数年間で多くのコンテストでの受賞歴を持っています。

それで、まだ22歳です。

「今は、東京で自分のお店をオープンするための準備をしています。ロンドンに行ってみて、日本の美容技術は世界でも十分に通用するとわかりました。日本はクリエイティブで負けてないぞ、ということを、世界に発信していきたいです」

フォロワー数4万人以上!
京極琉さんのInstagramはこちら

-インタビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【“ニッポン”の発信基地 Vol.1】「和福女子」代表・古賀百合絵さん

コラム「“ニッポン”の発信基地」では、日本文化を発信するヒトやコトに焦点を当て、紹介していく。また、近年急激に伸びている「インバウンド・ビジネス」(訪日外国人観光客向けのビジネス)にも範囲を広げていき …

メロンパンフェスティバルは「好きが高じて」平井萌さん

「おいしいですか? 良かった~。ここのメロンパンは、クロワッサン生地なのが特徴で、……」 メロンパンの話になると、止まらない。 平井萌さんは、今年3月に大学を卒業したばかり。一見、おとなしそうな印象だ …

「背中で人の自発性を育てたい」ぼくがインタビューで話した人生のテーマ

ぼくが大学生の頃からお世話になっている富田哲郎さんが、渡米直前にインタビューしてくださいました。     続きはこちらで↓ 挑戦するひと・中村洋太さんインタビュー 富田さん、ありが …

宿泊客が無料で使えるスマホ「Handy」によって旅行はどう変わるか?

Handy Japan CEO の勝瀬 博則さんにお会いしてきました。香港生まれのHandyは、大注目のベンチャー企業。4年前に22歳の大学生が起業して、既に世界17カ国で展開されています。 では、何 …

「イラストの力で、魅力あるものをわかりやすく、面白く伝えたい」イラストレーター りゃんよさん

「『大人のおもちゃ』を作りたくて玩具会社に入社したんだけど、『子どものおもちゃ』を作る会社だったからすぐに退職しちゃって」 「まず受ける前に気付こうよ」 強烈なインパクトを残した彼女は、イラストレータ …