ブログ

「地震前と地震後」の反響から学んだこと

投稿日:2016年3月9日 更新日:

1年以上前の話だ。

飼っているネコの写真を撮った直後に、震度4くらいの地震があった。表情が一変して、テーブルの下で怯えるネコ。一瞬の間に起きた変化をTwitterに投稿したところ、ほんの数日のうちに2万5000リツイートされる反響となった。

Yahoo! に取り上げられ、NAVERまとめ、グノシー、ハム速など各種メディアでもこぞって紹介され、さらには英語と中国語に翻訳され、うちのネコは海を越えた。

image

100万人以上の目にふれられたようだが、何も知らない当事者たちは、ご褒美にあげた少し高い缶詰めを嬉しそうに食べているだけだった。

10734166_849916665048590_7381162857674331242_n

当たり前のことだが、きちんと取材をして記事にしたメディアはひとつもなかった。本当に当たり前のことだが。

image

でもぼくが言いたいのは、「取材しなくても、記事を作れてしまう」ということだ。それも、ひとつのネタに対して、無数の二次的な記事が生まれ、100万人以上に広まっていく。なんだか変な世界だ。

image

確かに、このネタを使ったら、ウケるかもしれない。サイトはたくさん閲覧されるかもしれない。でも、取材もしない、現場も訪れない、そんな「書き手の代替可能な記事」には、創造性のかけらもない。

これがもし、ぼくに連絡を取ってきて、「飼い主である中村さんに当時の様子を伺ってみました」なんて記事を書く人がいたら、アホな人だなと思いつつも、まだ好感が持てる。

ぼくは、こんなしょうもない二次的な記事が溢れる時代だからこそ、「実際にやってみる」「現場に足を運ぶ」「自分が感じたことを書く」ことの大切さを、行動を通して伝えていきたい。

取材をしても、必ずしもおもしろい記事になるとは限らない。おもしろいかどうかは、書き手の力量にもよるし、そもそもインタビューした相手がおもしろくなかったらどうしようもない。

それでも、「確実にウケるネタ」をコピペするだけの記事よりは、よっぽど崇高な行為だし、世の中に何かを生み出している。現場に足を運び、実際に人に会って話を聞く。そのとき、たったひと言でもいいから、「これだ!」という言葉が本人の口から聞けたら、勝ちだと思っている。取材してよかった、来た甲斐があった、と感じる。

「おもしろい・おもしろくない」よりも、代替不可能な記事を書いていく。アクセス数よりも大切なことは、たったひとりでもいいから、自分の文章によって、行動や考え方を変える人が現れることである。100人にウケるコピペ記事よりも、ひとりの心の奥底に刺さるオリジナル記事を書いていきたい。

-ブログ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

H型の人材だった吉田松陰

決意は行動を変える。 電車の中で、ほとんどスマホを見なくなった。代わりに本を読んでいる。 今は『世に棲む日日』という作品。主人公は、吉田松陰。 松陰がこの時代に生きていて、同世代だったとしたら、きっと …

登山家・栗城史多さんの死に思うこと(2)「気持ちの変化に向き合う」

一度「これが自分のやりたいことだ」「私の夢は◯◯です」と宣言して、人にも応援されたりすると、仮に途中でやりたいことが変わったとしても、切り替えづらくなります。たとえ気が変わっても、自分に嘘をついてしま …

2018年の振り返りと、今だから話せる3つのこと

フリーランス2年目が終わります。今日は色々と暴露します。 思い出したくないくらい辛い過去だったからか、なかなか振り返る時間が取れませんでした。 今だから話せますが、とくに今年の1月から6月までの半年間 …

「見せかけの挑戦なんてやめちまえ!」自ら負けにいく覚悟

2日前にも書いたのですが、今度の土曜日に、自転車で熱海まで走ろうと思っていました。 「どこか温泉へ行きたいな」と思ったのが、最初の発想でした。 はじめに浮かんだのは、「箱根へ行く」という選択肢でしたが …

大学時代の反省

自分よりも若い人と接していると、「自分がそのくらいの年齢のとき、何を考えて生きていたか」と無意識に我が身を振り返り、大抵は反省する羽目になる。 4月から始まる大学生活に、胸を踊らせる高校の卒業生たちと …