この嬉しさをなんと表現して良いのか。感動的なお言葉と、素晴らしい作品をいただいてしまったので、この場を借りてご紹介したい。
数年前にとある書道イベントに参加した際、講師を務めていた書家の小杉卓さんという方と出会った。彼は当時から「デザイナーとして自分の作品をパリコレに出品したい」と話していらっしゃったが、その想いは今も変わっておらず、今年からパリに移住して制作活動を続けている。
ぼくがアメリカへ旅立つ2日前、その小杉さんから不意にメッセージが届いた。それがなんとも嬉しいメッセージだったので、許可を得てご紹介させていただくことにした。彼の素直さと謙虚さ、そして行動力、全ての魅力がここに表れているような気がする。
「中村さん
ご無沙汰しております。書家の小杉です。以前メッセージをお送りしたままになってしまい本当に失礼しました。格好悪い言い訳になってしまいますが、会っていただきたいと言いながらも、まだまだ中村さんに会っていただけるような活躍ができていない自分自身に自信がありませんでした。
中村さんが会社を辞められたこと、『東海道五十三注ぎ』の冒険、そしてアメリカに旅立たれること、すべてブログを拝見して心の底から応援しておりました。コメントもメッセージもできなかったことを本当に恥ずかしく思います。
今回こうして中村さんにメッセージをお送りできたのは、中村さんのご活躍にとうとうガツンと衝撃を受けたからです。実は私は昨年、どうしても活動で必要だったDJIのOSMOを購入しました。その活動の社会的意義はとても大きかったと思っていますが、それを提案・交渉・協賛というかたちで提供を勝ち取った中村さんに、どうしようもなく嫉妬しました。そして、思い切り背中を押していただきました。
私もどんどん攻めていきます。実は私も昨年会社を退職し、書家としての活動をよりダイナミックに展開すべく、現在はパリにて活動しています。目指すはパリコレ、大河ドラマの題字。多くの人の「想い」をどんどん書き上げていきます。
そこで、私には物理的にはなにも中村さんのサポートができないのですが、今回の中村さんのチャレンジの「題字」を書かせていただけないでしょうか。
中村さんの心の本当の真ん中にある言葉を、目いっぱいに表現させていただきたいのです。もし書かせていただけましたら、完成した作品自体を直接お渡しすることは難しいのですが、まずはデータをお送りさせていただき、そのあと機会を作ってお渡しできれば幸いです。一番大切なところに掲げていただけるような作品に仕上げます。何卒、ご検討いただければ幸いです。
書家 小杉 卓」
ぼくは心の底から感動し、尊敬した。
なぜなら、嫉妬した相手に対して、その人の背中を押すような行為をすることが、どれだけ勇気と覚悟のいることかを知っているからだ。そして正直、「この人はすごい!」と思った。
ぼくは感謝し、「ぜひお願いします」と言った。自分の想いやキーワードを箇条書きでお伝えした。
その後、返信があった。
「いただいたキーワードをすべて書き出して、つながる言葉を探ってみました。見ずらい部分もあり申し訳ないのですが、ノートの画像も一緒にお送りしますね。
僕がぜひ提案させていただきたい言葉は、「跳」という言葉です。背景としては3つ大きな想いがあります。
1、チョウという「音」で連想される言葉 ⇒挑戦、超越、頂上、跳躍など
2、自らの「足」で挑み続ける
3、足で歩いたあとに道ができる ”走る”という言葉は中村さんの生き方における本当に大切な言葉だと感じます。ブログのテーマ、ツール・ド・ヨーロッパ、『東海道五十三注ぎ』などは、まさに中村さんの”足”が成しえたことだと思います。
その足で一歩一歩、そして飛ぶように、「跳」。いかがでしょうか」
「素晴らしい!」と心の中で叫んだ。意外な一文字だったが、その文字を選んだ背景を知って、納得するとともに、恐れ入った。
そして今日、写真が送られてきた。
「ようやく書きあがりました。限りなく飛ぶに近い、走る。「跳」
なかなか思うように書き進められず、中村さんならこんなときどうするかと考えたのですが、思い切って走ってきました。走った直後にそのままの勢いで筆を握りました。
そして、走りながら考えていたのですが、自分自身も、中村さんの姿に突き動かされた一人ですが、今まで中村さんが会ってきた方々、そして、ブログなどで中村さんの挑戦を見守っている方々が、きっとたくさんいると思うのです。 そんなたくさんの方々の想いと、中村さんのこれまでの経験を作品に反映できないかと考えました。
勝手に申し訳ないのですが、中村さんがFacebookで投稿していた写真を使わせていただき、モザイクアートとしての作品も作ってみました。中村さんの投稿していた写真がかなり多かったので(それだけたくさんの経験をされてきたのだと改めて感動しました、、)ひとまず、この2年間の中村さんの写真、およそ1300枚をまとめました」
モザイクアートとなった写真を目を凝らして見てみると、驚いたことに、その1300枚のほとんどが誰かと一緒に写っている写真だった。こんなにも多くの人たちと出会い、支えられて生きてきたんだなと、改めて感じた。
そして、これまで出会ってきた全ての人たちの想い、これから出会う全ての人たちの想いを胸に、ぼくはこの先の人生を限りなく「跳」んでいきたい。
小杉さん、本当にありがとうございました!!帰国したら額に入れて飾らせてください!小杉さんの更なる跳躍も楽しみにしています!!
小杉卓さんのサイトはこちら