ドイツ 記憶の風景

【ゲーテが「生きた絵本」と称えた町】南ドイツ・ミッテンヴァルト

投稿日:

南ドイツのミッテンヴァルトは、ドイツアルプスに抱かれた小さな田舎町だが、毎年多くの観光客が訪れる。

この町が有名な理由は2つある。ひとつは、「ヴァイオリンの町」として。オーバーバイエルン地方で最も美しいといわれる聖ペーターとパウロ教会の前に、銅像が立っている。この男の名は、マティアス・クロッツ。

彼は16世紀、イタリアのクレモナにて、ヴァイオリン製作を学んだ。彼の師匠は、ストラディヴァリ。名器ストラディヴァリウスで知られる人物だ。修行を終えたクロッツは、ミッテンヴァルトに戻り弟子を育て、この町をヴァイオリン作りで有名な町にした。モーツァルトが幼少期に使っていたヴァイオリンもこの町で作られたものだという。今でも町を歩いていると、小さなヴァイオリン工房を見かける。

そしてもうひとつ、この町を訪れる人が楽しみにしているのは、家々の壁に描かれている美しいフレスコ画。かのゲーテはこの町を訪れ、「生きた絵本」と称えた。目抜き通りのオーバーマルクト通りでは、道の左右に色彩豊かな家々を眺めることができる。

同様のフレスコ画が見られる町としては同じくドイツのオーバーアマガウも有名だが、自然も楽しむならミッテンヴァルトがおすすめ。駅の背後にそびえるカーヴェンデル山(標高2385m)にロープウェイで登ることができ、頂上からの眺めも絶景だった。

-ドイツ, 記憶の風景

執筆者:

関連記事

ドイツ&北欧 旅の収穫と学びについて

ベルリンの居心地の良さ ベルリンは不思議な街で、「ここ!」という具体的な好きな場所があるわけではないのだけど、街自体の居心地が妙に良い。イタリアやスペインのような陽気さはありませんが、むしろその落ち着 …

【自転車旅】ツール・ド・ヨーロッパ(54)ルクセンブルク~トリアー

7℃。冬だ・・・ ツール・ド・ヨーロッパ 第54ステージ ルクセンブルク~トリアー(ドイツ) 49km 実は、ルクセンブルクでは兄の知り合いであるマルティンさんという方のお宅に泊まらせていただいた。 …

バッハの本が運んでくれたエピソード

クラシック好きのマスターが営む近所の喫茶店「珈琲の詩」に置いてあった本、おもしろくて一気読みしました。 作曲家としてのバッハの偉大さが広まったのは、彼の死後のことでした。生前の彼は「世界的な教会オルガ …

【これぞチロルの風景】SLツィラータール鉄道とペンケン山(オーストリア)

オーストリアのチロル州に、インスブルックというハプスブルク家ゆかりの古都がある。2011年から2013年の夏は、毎年この町に滞在し、様々な場所を訪問して過ごしていた。それはもう居心地の良い町で、1ヶ月 …

4度目のベルリン訪問と今回の旅の目的

昨日からドイツの首都ベルリンに来ています。 今回で4度目の訪問になります。ベルリンの訪問はいつも不思議なストーリーに繋がっていて、そのストーリーを話せば、今回の旅の目的を理解していただけるのではないか …