2014年に、六本木ヒルズで開催された「ガウディ×井上雄彦展 シンクロする創造の源泉」という展覧会に行った。
漫画家井上雄彦の目を通して、建築家ガウディの生涯を辿るという特別展。バルセロナには行ったことがあるけど、この街で見た建築以外にも、まだまだガウディの作品がたくさんあることを知った。とくにガウディが設計した大学講堂の断面図がすごかった。その緻密さに驚かされた。
「人間は何も創造しない。ただ、発見するだけである」と話したガウディ。彼は自然をよく観察し、貝殻、波、蜂の巣、植物などの形を建築のモチーフとして取り入れた。それがよくわかる展示になっていた。
サグラダ・ファミリアの建設は、1882年から始まったそうだ。自分が生きている間に到底完成しないとわかっているものに対して、どのように創作のモチベーションを保っていたのか、ぼくには疑問だった。しかし「サグラダ・ファミリアの建設はゆっくり進む。なぜなら、私のクライアント(神)は完成をお急ぎではないからだ」という言葉を聞いて、ほんの少しだけ理解できた気がした。神がクライアントとは、偉大な人物だと思った。
2026年に完成が予定されているサグラダ・ファミリア。ケルン大聖堂は建設に600年以上かかっていて、完成の瞬間を見られた人というのはその長い歴史の中ではごく僅かなわけだから、今の時代に生きる我々は幸運。完成の瞬間が楽しみだ。
現地で見たとき、まるで生き物であるかのような緻密な彫刻には言葉を失ったが、ここの主任彫刻家が日本人の外尾悦郎さん。彼の著書『ガウディの伝言』は名著なので、ぜひ興味のある方はご一読を。