スペイン 読んでみた

ガウディ「人間は何も創造しない。ただ、発見するだけである」

投稿日:2017年3月1日 更新日:

2014年に、六本木ヒルズで開催された「ガウディ×井上雄彦展 シンクロする創造の源泉」という展覧会に行った。

漫画家井上雄彦の目を通して、建築家ガウディの生涯を辿るという特別展。バルセロナには行ったことがあるけど、この街で見た建築以外にも、まだまだガウディの作品がたくさんあることを知った。とくにガウディが設計した大学講堂の断面図がすごかった。その緻密さに驚かされた。

「人間は何も創造しない。ただ、発見するだけである」と話したガウディ。彼は自然をよく観察し、貝殻、波、蜂の巣、植物などの形を建築のモチーフとして取り入れた。それがよくわかる展示になっていた。

サグラダ・ファミリアの建設は、1882年から始まったそうだ。自分が生きている間に到底完成しないとわかっているものに対して、どのように創作のモチベーションを保っていたのか、ぼくには疑問だった。しかし「サグラダ・ファミリアの建設はゆっくり進む。なぜなら、私のクライアント(神)は完成をお急ぎではないからだ」という言葉を聞いて、ほんの少しだけ理解できた気がした。神がクライアントとは、偉大な人物だと思った。

2026年に完成が予定されているサグラダ・ファミリア。ケルン大聖堂は建設に600年以上かかっていて、完成の瞬間を見られた人というのはその長い歴史の中ではごく僅かなわけだから、今の時代に生きる我々は幸運。完成の瞬間が楽しみだ。

現地で見たとき、まるで生き物であるかのような緻密な彫刻には言葉を失ったが、ここの主任彫刻家が日本人の外尾悦郎さん。彼の著書『ガウディの伝言』は名著なので、ぜひ興味のある方はご一読を。

ガウディの伝言 (光文社新書)
外尾 悦郎
光文社
売り上げランキング: 4,693

-スペイン, 読んでみた
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

宮城谷昌光『楽毅』全4巻を読んでの感想

この2週間、毎日読み続けていた宮城谷昌光『楽毅』全4巻をようやく読了した。 キングダム全54巻のうち、たったの一コマしか出てこないこの人物。戦国時代の伝説的英雄だったらしいが、どう凄かったのか。どうい …

【仕事を辞めるか続けるか】「危険な道を選べ」背中を押してくれた岡本太郎さんの言葉

転職しようか、どうしようか。独立しようか、どうしようか。 そう悩んでいる人は、無数にいるはずだ。ぼくもそのひとりだった。 仕事を辞めるべきか。続けるべきか。自分の人生、このままでいいのだろうか。 昨年 …

【奇跡は意図的に起こせる】シンクロニシティを起こす条件

ミャンマーから帰ってきてこの数日間、なんだか無気力状態が続いていた。最初は疲労が原因だと思ったが、休んでもまだ気力が湧かない。たいして仕事もしていないのに、どうやら精神的に疲れているらしい。 フリーラ …

「不平等な交換」が与える、「前向きな負債感」とは? クルミドコーヒーの事例から学べること

不思議と様々な人に助けられたり、応援してもらえたり、絶好のタイミングで必要な情報を与えられたりと、不思議とラッキーなことがたくさん起こる。 みんながみんな、そうなのだろうか。いや、自分はとくに恵まれて …

「あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない」(『夜と霧』を読んで)

20世紀を代表する名著と言われる『夜と霧』を読み終えました。 それはそれは、人間の本質に迫る素晴らしい作品でした。 著者はアウシュヴィッツ強制収容所ほか、数々の強制収容所に収容されていた著名な心理学者 …