Impact HUB Tokyo の岩井美咲さんとは、ときどき近況報告会をする。
大学時代、スウェーデンに留学したことによる影響が強いのか、自分の考えや意見に芯があり、人に流されない性格だ。後輩だけど、とても信頼している。
彼女は、思考や現象を言語化する能力に長けていて、ぼくがうまく言葉にできないことを、的確に言語化してくれる。だから最近思うことについて話していると、対話を繰り返すうち、思考はみるみる整理されていく。
「様々な活動をされてますけど、何がモチベーションになっているんですか?」
本質的な質問だったので、一瞬とまどった。
ぼくは仕事以外に、プライベートで様々な活動をしている。記事を書いたり、新規事業に携わったり。だがいずれに関しても、お金をもらっているわけではない。
確かに、何がモチベーションになっているんだろう。今まで考えたこともなかった。
「ちょっと特殊だと思うんですよ。お金をもらえないのに、そこまで高いモチベーションを維持できるのって、どうしてなんですか?」
「お金じゃないもんね。ぼくはやりたいことなら、お金をもらえなくてもやりたいし、逆に、やりたくなかったら、お金をもらえたとしてもやらない」
「じゃあ、「成長」がモチベーションですか? 私の場合はそうなんですよ。これをやったら成長できる、と思えるかどうかが大きいです」
「いや、「成長」でもないね。ぼくのモチベーションの源は、多分お金でも成長でもない」
「じゃあ何ですか?」
「そこに自分が生きているかどうか、かな」
無意識に口からすべり出た言葉が、自分でも初めて聞く表現だったので、その先にどういう言葉が続くのか、興味深かった。ぼくは何も考えずに、口から出てきた音を聞いていた。
「何かをやった後に、結果として成長しているのは嬉しいことだけど、別に最初から『成長するために』と思ってやっているわけじゃない。
自分の良さが出せるものなのかどうか、自分が生きるのかどうかが、何かをする際のモチベーションになっている気がする。
『これは自分じゃなくてもできる仕事だな』と思ったら、途端にモチベーションが失せる。だって、何のために自分が生きているのか、わからなくなるじゃん」