インタビュー 写真・映像

モノクロが写し出す感性。ライカの衝撃が写真家・松井文さんの人生を変えた

投稿日:2016年5月5日 更新日:

2016年5月、二子玉川 蔦屋家電にて、写真家・松井文さんの写真展「Sentimenti」が開催された。会場でご本人にお話を伺った。

13096039_1160818297291757_3215304652859135741_n

13124730_1160671133973140_4077786534928991691_n

——いつから写真を撮っていたんですか?

「小学生の頃ですね。母と共有していた携帯電話のカメラで、あちこち撮っているうちに写真が好きになりました。そのうちデジカメや一眼レフを買って、勉強もして、高性能なものを追い求めてきたのですが、21歳のときにライカのカメラを初めて使ってみて、衝撃を受けました」

——どうしてですか?

「それまでは、高性能なカメラであればあるほど、良い写真が撮れると信じてきたんです。国産メーカーの一眼レフは、スペックも良いし、よく撮れます。でも、ライカの方が、味のある写真が撮れるんです。

それに、私が撮りたいのは、その瞬間のリアルな感情でした。そのときに必要なのは、ハイスペックな性能のカメラよりも、『撮られたくなるカメラ』でした。

今回、イタリアのフィレンツェとローマに撮影に行ってきましたが、私がライカを構えると街の人々が向こうから手を振ってくれたり、笑顔を見せてくれるのです。中には指をさして『撮ってくれ』と言ってくるおじいさんもいました。

そうやって撮った写真の数々は、見事にその場の雰囲気や空気感を切り取っていて、ライカのすごさを実感しました」

13148313_1160977960609124_390517100_o

21歳の頃にライカと出会い、「光と影が魅せる一瞬の時間の記憶」と題したモノクロ作品を発表。見た目のイメージと裏腹な力強い描写の作品が、ライカ写真家・伊﨑真一さん(Hobby Izaki)の目に止まり、彼に弟子入りした。この出会いがなければ、彼女は今、写真家として活動していなかったかもしれない。

展示してあるのは10点ほどだが、それでも十分良かった。モノクロの写真に、こんなに惹かれるとは思ってもいなかった。まだ23歳。彼女の持つ豊かな感性に注目していたい。

松井文さんのInstagram はこちら

-インタビュー, 写真・映像
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

「日本のクラフトビールの魅力を、世界に広めたい」世界一周、ユニクロ店長を経て、ビールの道へ 袴田大輔さん

「中村さんにインタビューさせてください」 という突然のメッセージに、「光栄です!」と返したのは、彼の方が有名な人だったからです。といっても、それは5年前の話。 まだヨーロッパ自転車旅も成し遂げていない …

「自由に表現する楽しさを、写真を通して伝えたい」写真家・橘田龍馬さん

インタビュー記事が公開されました。 2015年に写真講座を開始して、瞬く間に人気講師となった橘田龍馬さん。 これまでファッション広告、ファッション誌、音楽専門誌、CD・DVDジャケットなど、 写真家と …

日本サッカー界の至宝、久保健英選手から学んだこと

2013年の夏に、ひとりで「ツール・ド・山手線」という企画をやったことがある。自転車で山手線の全29駅を回った。 知らない人に声をかけ、「駅の看板と一緒に写真を撮ってください」と29回頼んで、一日を終 …

【“ニッポン”の発信基地 Vol.1】「和福女子」代表・古賀百合絵さん

コラム「“ニッポン”の発信基地」では、日本文化を発信するヒトやコトに焦点を当て、紹介していく。また、近年急激に伸びている「インバウンド・ビジネス」(訪日外国人観光客向けのビジネス)にも範囲を広げていき …

メロンパンフェスティバルは「好きが高じて」平井萌さん

「おいしいですか? 良かった~。ここのメロンパンは、クロワッサン生地なのが特徴で、……」 メロンパンの話になると、止まらない。 平井萌さんは、今年3月に大学を卒業したばかり。一見、おとなしそうな印象だ …