インタビュー

フォークリフトを運転するサロンモデル ゆいさんは、ウニを食べに積丹半島へ行く

投稿日:2015年12月20日 更新日:

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以前からInstagramでフォローしていた、ゆいさんというサロンモデルの方がいました。日々、この方の写真を見ているうちに、「よくわからないけど、只者じゃなさそうだな」と思うようになりました。正直、根拠はありません。名前を検索しても何も出てこない、本当に正体が不明な方でしたが、自称「人の目利き」としての勘です。

なんとなく引っかかるものがあり、直感に従って、今朝10時頃、連絡を取ってみました。

「突然ですが、インタビューさせていただけませんか?」

「インタビューですか? 私でよければ」

「さすがに今日は、空いてたりしませんよね?」

「空いてますよ」

そしてその3時間後には、二子玉川で会っていました。知らない人に連絡を取って、実際に会うまでの最短記録でした。ぼくもぼくですが、彼女も彼女です。しかし、本当の意味で彼女に驚かされるのはそれからで、予想を遥かに上回る衝撃が待ち受けていました。

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「よく、サロンモデルの写真をアップしていますよね。あれは本職なんですか?」

「いえ、あれは休日の趣味ですね。平日はOLとして普通に働いていますよ」

「どんなお仕事を?」

「フォークリフトを運転しています」

「はい?」

「運転資格持っているんですよ。ほら、この動画見てください」

「・・・本当だ」

彼女がフォークリフトを運転して、歓声が上がっている動画を見せてくれました。

 

「大学時代は、何をしていたんですか?」

「大学2年生の冬から、ツインリンクもてぎのイメージガールを務めていました」

「へえ」

「でも、私辞めちゃったんです」

「イメージガールを?」

「いや、大学を」

「はい? 大学を辞めたんですか?なぜ?」

「なんか、単位を取るために授業を受けて、何のために大学に行く必要があるのかわからなくなっちゃって」

「多分、誰もがそう思っているけど、本当に辞めちゃう人には初めて会いました笑」

「それから、イメージガールを一年間やって、その後、会社に勤めました。一度転職して、今の仕事をしています」

 

「話は変わりますが、旅行は好きですか?」

「好きですよ。今年は積丹半島に行きました」

「しゃこたん半島?どこ?」

「北海道です。小樽の先の」

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「初めて聞いた。観光地として、そんなに有名じゃないよね?なぜそんな場所へ?」

「ウニが食べたくなって、積丹半島のウニがおいしい、って聞いたんです」

「それだけ?」

「え?」

「ウニが食べたいから、積丹半島まで行っちゃったの?」

「そうです」

「でもすごい田舎だよね? 札幌から、レンタカーで?」

「いや、わたし免許持ってないんです」

「じゃあフォークリフトで?」

「違いますよ笑 鉄道とバスで」

「それでウニは食べられたの?」

「食べました!積丹半島の宿で、獲れたてのウニを、こんなに!」

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「うわあ、うまそう。旅の目的は果たせたね」

「はい。でも、本当に何もないところで、何もすることがないから、22時頃には寝ちゃって、翌朝宿の近くを散歩してたんですね」

「うん」

「そしたら、漁師さんたちがいて、そこにフォークリフトがあったから、『私これ運転できますよ』って言ったんですよ」

「面白い!運転したんだ」

「しなかったです」

「してないのかよ!」

「でも仲良くなって、エビくれました笑」

「なんの話だよ笑」

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「あ、これをお見せしようと思って」

「この手紙は何?」

「わたし、文通しているんです」

「誰と?」

「前に新幹線で、隣に座っていた小学生と」

「はい?」

「3年くらい前なんですけど、隣の席に小学生の女の子がいて、話してたんですね。それで、ミッキーの絵を描いて、横に『ミッキー』って書いたりしてたら、『かわいい字でいいな。私の字は男の子っぽいから嫌い』って言って」

「うん」

「私も、昔男の子っぽい字だったから、よくわかるんです。でも、友達のかわいい字を真似してたら、私でも書けるようになったから、『お姉ちゃんと文通したら、私の字を真似できるよ』って提案したんです。それから、文通が始まりました。もう何十通も続いています」

「普通に良い話」

 

「そういえば、二子玉川の藤屋ベーカリーって知っていますか?」

「雑誌とか載っているお店? 行ったことないけど」

「そうです!私学生の頃から通っていて、そこのお母さんと仲いいんですよ。中村さん、いろんな人にインタビューされてるから、そのお母さん紹介しますよ!」

不思議な方です。

彼女にとっては、ぼくは「今朝、突然連絡をしてきた変な人」であるハズなのに、その変な人に、当然のように次のインタビュー相手を紹介してくれるとは、いったいどういう感性なんだろう、と思いました。やはり只者ではなかった。。

そしてカフェを出て、本当に彼女に連れられ、藤屋ベーカリーという昭和55年創業のパン屋さんにやってきました。

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お店に入った瞬間、奥にいたおばちゃんの熱烈な歓迎。

「まあ〜!よく来てくれたわね〜!ありがとう〜!」

おばちゃんが、ぼくに熱く語り始めました。

「この子はね〜、もう7年くらい前からお店に来てくれて。本当に良い子でね〜、もう・・・素晴しい子なの!」

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熱心に話すおばちゃんを見ていて、なんだか温かいなあと感じました。

このお店のパンは今日の夕食になりましたが、本当においしかったです。

 

さらに別れ際、二子玉川の映画館の前に、スターウォーズのコスプレをしている人たちがいました。ぼくが面白がって写真を撮っていると、彼女がコスプレの人たちに近づいていき、

「ライトセーバー貸してください」

いきなりヨーダと戦い出した!意味がわからないけどすごい!

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しかもかなり白熱の戦い!

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「あー楽しかったー!」

「覚醒してたね」

なんだかまだ、整理がつきません。いったい、彼女は何者だったのだろう。サロンモデルの人だと思ったら、今まで会ったことのない類の変人でした。しかも「変人」と呼ばれることに本人は喜びさえ感じているし。

しかし、もちろん良い意味で言っています。好奇心の強さ、考え方、人の良さ、行動の真っ直ぐさなど、エピソードから垣間見られた彼女の人柄には、学べるところが本当にたくさんありました。おかげさまで世界が広がりました。

夕暮れが美しかったです。

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