「秋田弁では、『け』という言葉に、3つの意味があるんですよ」
と、秋田県出身のガイドさんは言った。
ひとつは、『食え』
「うめがらけ~」は、おいしいから食べな~。
ふたつめは、『来い』
「こっちさけ~」は、こっちに来なさいよ~。
みっつめは、『かゆい』
「せながけ~」は、背中かゆいよ~。
という意味になるそうだ。
ちなみに「く」は、食う、という意味になるそう。
「だから秋田の人は、『け』、『く』で会話が成り立つんですよ~」
頑張って標準語で話すのだけど、どうしても言葉の端々に秋田弁が出てしまうガイドさんに、一同は和んだ。
(なんだ、大した雪じゃないじゃないか)
と思って秋田に入るも、いやいや、夜はすごい大雪だった。あっという間に積もる。それでも「今年は雪が少ない」と、地元の人はなんでもないという様子だった。
さすが日本有数の豪雪地帯。見たこともない除雪機械がたくさん。歩道では小さなスプリンクラーが絶えず雪を溶かしていて、大曲駅ではパトカーに積もった雪を警官たちが落としていた。
「みちのくの小京都」と謳われる角館では、地元の語り部が「昔はこうして雪道を歩いたんだ」と教えてくれた。
横手では、年に一度のかまくら祭りが行われ、「入ってたんせ~(入ってください)」「あがってたんせ〜(お餅や甘酒を召し上がってください)」という子どもたちの元気な声が夜を照らした。
おそらく世界にひとつだけ?の「かまくら交番」もあった。
ミニかまくらは幻想的だった。
かまくらの中は暖かく、子どもたちが甘酒やお餅をくれた。
少し奥まったところに来ると、観光客慣れした国内外のお祭りとは異なる、純朴な風情があった。だいたい気持ちとして100円くらい渡すのが通例なのだが、子どもたちは少しも「しめしめ」という顔はせず、心からの「ありがとうございます~」という気持ちのこもった返事をする。
むしろそのことの方に、温かさを感じた。
挑戦は続く。